日本中を夢中にした伝説のケンメリT完全復刻
街はケンメリTシャツであふれた |
伝説のケンメリTシャツは、1970年代に32万枚もの記録的なヒットを達成した、日本Tシャツ史に輝く名品です。しかし、今ではケンメリと言ってもご存知ない方が多いかもしれません。ケンメリとは、TV-CMやテーマソングも大人気だった名車「SKYLINE C110型=ケンとメリー愛のスカイライン」の愛称なのです。
ケンメリTシャツは、もともと販売員のユニフォーム用として作られました。しかし、そのデザインの美しさからお客様に熱望されて販売することになり、やがて大ヒット商品になったのです。
約30年前に日本中で愛されてからも、何度か、販売促進用やイベント用として簡便に復刻されたことはありました。昨年秋の日産栃木工場でのイベントでも、簡易復刻されたのは記憶に新しいところです。
しかし、今回、日産のプロジェクトチームがあくまでもこだわったのは、オリジナル品を完全復刻することでした。
伝説のケンメリTシャツ探しから始まった
特設サイトにアクセス集中 |
しかし、そこには、5つの大きな難関が立ちはだかっていました。
1.特別な生地=綿100%スムース編み
オリジナルのケンメリTシャツは、最高級綿糸をスムース編みにしたという特別上質な素材を使っています。こうしたスムース編みの高級生地は現在Tシャツで使われることは少なく、私たちの定番商品で使っている生地とも違うため、すべて特注の生地になるのです。
2.特別な染色=ブラッキーネイビー
オリジナルのケンメリTシャツは一見すると黒に見えますが、よく見ると黒に近い濃紺で、父によれば、当時も色を出すのが難しかったそうです。そして、この染色をした工場は残念ながら現在は廃業されたり、ご縁がなくなったりしているのです。ちゃんと、あのケンメリの色が再現できるのかが危ぶまれました。
3.特別な衿=極太バインダー衿
オリジナルのケンメリTシャツは、今からすれば特別に太いバインダー仕様の衿になっています。この太さのバインダー衿は私たちの定番や、通常のオーダーメイドにもないメニューですので、当時のミシンのパイプを探して再調整して復刻・再現しなければなりません。
4.特別なプリント=フロッキー加工
オリジナルのケンメリTシャツは、単なるスクリーンプリントではありません。フロッキーと呼ばれる起毛加工をしているので、フエルトのように盛り上がっているのです。当時のこの技術が得意だったプリント工場はもう廃業しておりました。しかもあのオレンジのフエルトは別途大量に特別注文しなければ再現できないでしょう。
5.最大の難関=当時のTシャツ(現物)がない
中でも、一番の難関は、数千枚のサンプルが眠る弊社の作品倉庫の中にも、オリジナルのケンメリTシャツがないということです。そして、日産本社にも販売会社にもオリジナルは残っていないということでした。ほかの4つの難関をクリアしようにも、復刻のもとになるオリジナルが手元にないのです。
そこで、まずは、今年の初めに日産ファンが集うN-Linkのメールマガジンと特設サイトで、当時のケンメリTシャツ現物を持っていて貸してくださる方を探すことから始まりました。すると、30万人を超えるメルマガ読者の1割を超える人たちが、ありがたいことに特設サイトを訪ねてくれたのです。
>>>現物を手にして、さらに大きな障害が