帯には名古屋帯をはじめ、袋帯、丸帯、半幅帯など色々な種類があります。まずは小紋や紬などに使用する、一番応用範囲が広い名古屋帯での「お太鼓結び」をマスターしましょう。お太鼓結びの結び方も様々ありますが、ここでは「仮紐」を使った結び方をご紹介します。
準備するもの
- 帯
- 帯揚げ
- 帯締め
- 帯板
- 帯枕
- 仮紐(お太鼓を作る時に一時的に使う紐。1本)
説明の名称がわからないときは、「
着物の名称」を参照ください。
帯の名称
一般的な名古屋帯のかたち
名古屋帯は胴に巻く部分が半分に縫ってあり、細くなっているものが多い。胴に巻く方の先を「手先」、お太鼓の一番下にくる方を「たれ先」という。 また、帯を巻く時は基本的に帯の「輪」になっている方を下にして巻いていく。
帯の結び方手順
肩に掛ける時はなるべく外側にかけると衿がくずれにくい
1:胴に巻く帯の輪が下になるようにして、手先を左肩に掛ける。長さはウエストあたりまで。手先を押さえるようにしてひと巻きする。ひと巻きめで高さが決まるので、注意しながらしっかり巻いていく。
帯板は手先と胴に巻いた帯の間に入れる
2:帯板を入れる。
帯を締める時はなるべく両手を横に引くと締まる
3:ふた巻きめをひと巻きめに添わせるように巻いていく。ひと巻きごとに肩に掛けた帯をはずし、帯の下側を受けるように持って引きしめながら巻いていくと緩まず巻ける。
手先をおろす時は背中側にあった面が外に来るように
4:左手に持っている手先をおろし、手の輪の方側と胴に巻いた帯の輪が交わる点を、指でしっかりと押さえる。
右手を帯の前からまわすように持ち変えるのがコツ
5:右手でたれを下側から持ち直し、胴に巻いた帯の
上側まで折り上げていく。このとき、左手で押さえた手の帯も自然に折り上げる。
仮紐はなるべく高い位置に
6:折り上げたたれに仮紐をかけ、帯を押さえる。仮紐は前で結んでおく。
柄がある場合は柄優先で
7:たれ先から約80cmほどのところに帯山を作る。柄がある場合は柄の出具合なども考慮に入れて。帯山は斜めにならないように真っすぐ横に折るように布目を通しておくとキレイに仕上がる。
帯枕は帯の真ん中に入れる
8:帯山の位置に帯枕を入れる。このとき、帯の真ん中に帯枕が入るように気をつける。そうしないと、帯山が傾く恐れあり。また、7で決めた帯山がずれたり斜めになったりしてしないように注意。
帯枕の紐は、帯に隠れるので緩まなければどんな結び方でもOK
9:帯と帯枕を左右の手で持って、帯枕で仮紐を押さえるように帯枕をぴったりと背に添わせる。そうしないと体とお太鼓の間に隙間ができてしまう。帯枕の紐は前で結ぶ。
このひと手間でお太鼓が美しく仕上がる
10:帯枕の下に余分な遊びができるので、これをキレイなベース型に整える。
帯揚げは帯枕にかませるようにかける
11:帯揚げは三つ折りにして帯枕にかけ、前で本結びにする(参照:「
帯揚げの結び方」)。
お太鼓の大きさはバランスよく
12:お太鼓を作る。まずは、両手を下げたあたり、または帯山から約80cmくらいのところを指先でつまむ。
まっすぐ上に上げる
13:帯枕のあたりまで肘を曲げるようにしていくと、お太鼓が程よい大きさになる。あとは好みで調整。
たれの長さはだいたい人差し指一本分
14:たれの長さは7~8cmくらいにし、手先をお太鼓の中に入れる。
せっかく作ったお太鼓を崩さないように注意
15:その際、右手をあらかじめお太鼓の中に入れて押さえておいて、左手で手先を入れ込み、今度は左手で下からお太鼓を支えるようにして右手で手先をお太鼓の右側へ引きだすようにすると、お太鼓が崩れにくい。
手先は1~2cmほど出して残りを入れ込む
16:手先は2~3cmほど出して、余り分はお太鼓の裏側にたたんで入れ込んでおく。
帯締めはしっかり結ぶ
17:帯締めをお太鼓の中に通して前に回して結ぶ。帯締めは一番外側なので、締めても苦しくないはず。緩まないようにしっかり結ぶこと(参照:「
帯締めの結び方」)。
帯締めが帯から外れないように注意
18:仮紐を取ってお太鼓の大きさとたれの長さを確認して出来上がり。
帯の巻き方で個性を出す
着物と同じように、帯の巻き方でも個性を出すことができます。基本のお太鼓結びでも、お太鼓の大きさを変えてみたり、帯の高さを変えてみたりするとそれだけで表情が違ってきます。例えば、イメージとしてお太鼓が小さめで帯を低く結ぶと粋な感じですし、帯が高めでお太鼓が大きめだと華やかで若々しく見えます。基本をマスターしたら挑戦してみて下さい。
結び方のバリエーション
袋帯/二重太鼓 ……袋帯、しゃれ袋帯などの長い帯の一般的な結び方
名古屋帯/角だし ……小粋な雰囲気を演出する結び方