パンタロナイオ(パンツ職人)という職業


osaku hayato
パンタロナイオ(パンツ職人)の尾作隼人さん。今年31歳になるまだ若い職人だが、技術は他のテーラー(サルト)からも高く評価されている。

テーラーはジャケットを作る人、パンツを作る人と分かれている場合が多い。それはロンドンのサヴィルロウもイタリアのナポリも日本もそうなのだが、ほとんど表舞台に立つことはなく、パンツ専門の職人さんが注目されることは少ない。

尾作隼人さんはパンタロナイオ(イタリアでパンツ職人のこと)としていま注目されている職人だ。彼は文化服装学院で学んだ後、幾つかの名のあるテーラーで修行し、昨年独立。自宅の一室を工房にして毎日パンツを作っている。

現在は有名テーラー(サルト)のパンツを仕立てていて、2日で1本のペースで完成させていく。最近、職人を目指す中野さんが手伝っている。

とうぜんだがパターンオーダーのパンツと違って、アイロンでの作りこみや手縫いの箇所も多い。ナポリの有名なパンツ職人のパスクァーレ・モーラのパンツもS字のカーブを描いている(MEN’S EX 5月号参照)が、尾作さんが作るパンツもほどよくカーブしていた。既製品のアンティコ パンタローネのパンツを見たことがあるだけなので、正しく比較はできないが・・・。

osaku hayato
膝下部分が前方(画像では上側)に少しカーブしている。

だからといって尾作さんが真似をしているというわけではなく、パンツ作りの方向性が似ているのかもしれない。伺った話では日本のパンツ職人はあまり生地をいせ込んだり伸ばしたりすることが少ないという。生地の分量を移動させるのが日本のパンツの作り方なのだそうだ。

あと、日本人の体型があまりグラマラスではないことや、キレイな仕上がりが好きなことも、極端に立体的でない、まっすぐなシルエットのパンツが根付いた理由かもしれない。

あまり大胆にウネウネとS字ラインが入り過ぎるとプレスをかけにくくなったり、地の目が狂ってしまって支障が出るそうだ。バランスが大切ということなのだろう。

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