ハイクオリティなムーブメントが魅力!
アンティーク・ウオッチのなかでも清楚なデザインで人気が高い'60年代製のIWC。腕時計の王道をいくモデルだ。 |
とくに1950年代から1960年代にかけては、各時計メーカーともまだ大量生産しておらず、自社で完成度の高いムーブメントを製造していた。いわば機械式ムーブメントの黄金期といってもよく、この時期に誕生した腕時計は銘機を搭載したものが目立つ。
「そんな何十年も昔の腕時計がちゃんと動くの?」と疑いたくなるのもよ~くわかります。ただ当時の腕時計はムーブメントの設計と、ひとつひとつのパーツのクオリティが非常に高かった。これは各社が技術力を競い合っていたという証だ。定期的にメンテナンスさえしっかり行ってやれば、今後何十年も長持ちすることはたしか。
つまり黄金期に製造された腕時計でも、トータルのコンディションが悪ければ、やっぱり駄目なものは駄目というわけ。森下に店舗を構えるケアーズは、なかのムーブメントはもちろん、ケースや文字盤のコンディションのよいモデルのみを扱っている。
たとえ修理でパーツ交換が必要になった場合でも、ストックしてあるパーツを使ったり、ない場合は自らの工房で旋盤を使って削りだし、新たに作るという。その場しのぎのやっつけ修理はしていないのだ。
そんな信頼できるケアーズの店主、川瀬友和氏におすすめのアンティーク・ウオッチを選んでもらった。
IWC 手巻き センターセコンドモデル
IWC センターセコンドモデル。手巻き。1965年製造。Cal.89搭載。18Kピンクゴールド・ケース。33万3900円。 |
現行モデルでは、パイロット・ウオッチのマークシリーズが有名だが、このシンプルなモデルもIWCらしい。
Cal.89はIWCを代表するムーブメントだ。毎時1万8000振動。 |
Cal.89。チラネジをテンワのまわりに配しているのがわかる。その中心に装備されているルビー色の部分が耐震装置だ。また高級機種らしくコート・ド・ジュネーブ仕上げが施されている。シースルーバックではないのに、これほど仕上げが丁寧というのはさすがIWCである。 |
普通のユーザーはまず見ることができない裏蓋の内側。ここを見ればケースの素材や修理の日付を確認することができる。 |
またオーバーホール(分解掃除)した際に、時計職人のサインや日付がここに書かれることが多い。裏蓋ひとつからも多くの情報を読み取ることができる。