男の腕時計/その他の国の時計

本格派機械式時計に意欲的なブルガリ

最近は、斬新なデザインばかりでなく、機械式時計の魅力を伝える注目のモデルを続々と発表し、「本格時計ブランド」として強く印象づけるブルガリ。その新しい時計の世界を象徴する新作を紹介。

執筆者:菅原 茂

スケルトン・トゥールビヨンの衝撃

今年話題の新作とえば、「アショーマ・マルチコンプリケ-ション・スケレッテ」だろう。このモデルのテクニカルな特徴はまず、重力の影響で生じる誤差の補正機構トゥールビヨン、西暦2100年までメカが自動的にカレンダーを修正して正しく表示するパーペチュアルカレンダー、それに時差のある別地域の時刻も表示するGMTを一つの腕時計に統合している点だ。

ブルガリ「アショーマ・マルチコンプリ」
「アショーマ・マルチコンプリケ-ション・スケレッテ」。自社開発製造コンプリケ-ション・ムーブメントBVL416を搭載する最高峰モデル。トゥールビヨン、パーペチュアルカレンダー、GMT。自動巻き。プラチナ・ケース。1890万円

時計に詳しい方なら、こうした複数の複雑機構を組み合わせる「マルチコンプリケ-ション」に容易ならざる技術が必要なのはご存知だろう。しかもこのモデルの素晴らしさは、ブルガリの自社開発製造モデルであるということ。凝った複雑時計の多くが、外部のスペシャリストたちに任されるのが一般的なスタイルなのだが、ブルガリはグループ内に最高峰の複雑時計を手がける工房を擁しており、それによってオリジナリティあふれる独自のコンプリケ-ションの開発製造が可能になった。もはやお決まりの言い方で「時計も発表するジュエラー」というふうにブルガリをとらえのは的外れだろう。

実際、「アショーマ・マルチコンプリケ-ション・スケレッテ」に搭載されている自社製ムーブメントの開発に要したのは7360時間という。これを用いた第一号モデルは昨年デビューを飾ったが、今年は、スケルトン・バージョンとしてデザインされ、複雑メカの魅力が一段と際立っている。「アショーマ」特有の建築的で美しいケースに包まれ、それぞれ異なる仕上げが施された4層構造のダイアルに見え隠れするムーブメントがなんとも印象的だ。ブラックを基調とするトレンディでモダンな表情には、スゴ味さえ漂わせている。

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