オンでもオフでもこなせます
すっかり定番化したクレリックシャツ。カジュアルにもドレスにも着こなせるのが人気の秘密。今年は、身頃のストライプが等幅のものが人気のようです。衿羽根の開き、前衿の高さなどで雰囲気は変わります。 photo:石井幸久 |
袖と衿を白い生地に切り替えして、身頃を色柄生地にしたクレリックシャツ。そのルーツには諸説ありますが、単なるデザインで白く切り替えしているわけではありません。「CLERIC」とは「牧師、聖職者」の意で、その昔、牧師が着ていた白い立ち衿の僧服に似ているところから付けられた名称です。
しかし英語での正式名所は「カラーセパレーテッドシャツ」「カラーディファレントシャツ」「ホワイトカラーシャツ」ともいいます。ドレスシャツとしてではなく労働着として着られ、汚れたり、擦り切れたりしたら衿(あるいは袖)のみを取り替えられるように汎用性の高い白生地にしたという説が有力です。
これがフォーマルにも着られるようになったのは1920年代のロンドンで流行したという事実や、数年前の英チャールズ皇太子が結婚式で着たことで英国王室が認めるフォーマル服の仲間入りをしたという見方もあります。
日本ではここ2~3年、クロージング系セレクトショップや、スーツ系の雑誌がこぞって注目してとりあげました。「オトナ」を謳うラグジュアリー誌が、カジュアルなカットソースタイルではなく、上品なシャツスタイルを推すうえでもオススメしやすいアイテムだったことが、流行に拍車をかけたのではないでしょうか。
ナポリスタイルのハイカラークレリック
フィナモレ1925のクレリックシャツ2万4150円(エディフィス 渋谷) photo:石井幸久 |
生地の上質ぶりは手触りがツルツルすることから明白ですが、洗濯して干したときにその真価は発揮されます。アイロンがけしなくてもいいほど生地に皺が少なく、衿が波打ったりしないあたりは流石。着たときにウエスト周りがタイトにフィットして、シルエットも今風です。オフィスでジャケットを脱いだとき、その真価を発揮するはずです。
「フィナモレ1925」のセミワイドカラーシャツにはダブルノットで強調したタイドアップが似合います。もしくはノータイでボタンを開けたカジュアルな着こなしも良いでしょう。
注目していただきたいのは、前衿の高さです。約3cmほどの前衿、これがナポリ流のスタイルです。少し前にオヤジ系ファッション誌でも、この“衿高シャツ”は花盛りでしたが、イタリアでは「前衿の高いシャツは、田舎者のシャツ」という印象があるようです。「シティのビジネスマンは、そんな高い衿のシャツは着ないよ」だそうで…。
セミワイドカラーの優雅な開き。袖はラウンドカフ。パープルのストライプははっきりとしたコントラストを描きます。 photo:石井幸久 |
たしかに首の短い日本人には顎に付かんばかりですが、でも「新鮮」という意味では、かなり見栄えするんです。ちなみに個人的にも大好きな型。クラシックの定番型でもあるし、流行が去っても着ますよ、僕は。
次のページでもまだまだクレリックシャツをご紹介します。