お洒落だって、まずは基本から
“守破離(しゅはり)” という言葉があります。能の世阿弥が最初にその精神を表したと言われている言葉で、「守」は指導者の教えを従順に守り、基本的な型を身に付ける段階。「破」は基本を多少破り、自分の工夫を上乗せするステップ、つまり応用の段階。そして「離」は、完全に自分の型を生み出す段階を表しています。
そんな風に考えると、ファッションも基本が重要なのは当然のこと。この “守破離(しゅはり)” という言葉は、服飾研究家である遠山周平氏の著書『洒脱自在』の「はじめに」にも登場しています。いきなり自己流を編み出そうというのは、到底無理な話なのです。基本を踏まえてこそ、真の洒落者への近道。では、メンズカジュアルの基本とは何でしょう?
個人的には、アイビースタイルこそ大人の男性が心得ておくべき重要な型だと思っています。第二次大戦後、アメリカの豊かな文化に憧れる中で、日本で最初に流行したファッションがアイビーでした。雑誌の取材などでアパレル界の重鎮にお会いすると、必ずと言っていいほどアイビーに影響を受けているのです。