男の腕時計/スイスの老舗高級ブランド

挑戦者ピエール・クンツの刺激的な最新作(2ページ目)

独創的な複雑時計によって見る者を驚かす天才時計師ピエール・クンツ。今年も最新作の「インフィニティ ルーピング」が話題騒然。また、得意とするレトログラード機構も、さらに進化したモデルが注目を集めている。

執筆者:菅原 茂

レトログラードもさらに進化

WPHHの様子
ジュネーブのフェアの様子。ウィンドーにはピエール・クンツの複雑時計がずらり
冒頭に書いたように、ピエール・クンツの代表作は針が反復運動するレトログラードと呼ばれる機構で、これまでもほとんどのモデルになんらかのレトログラードが組み込まれてきた。今年の新作にもいくつか興味深いモデルがある。

ピエール・クンツ「トゥールビヨン トリレトロ」
トゥールビヨンとトリプル・レトログラード・セコンドを組み合わせた「トゥールビヨン・トリレトロ」のスポーツウォッチ・バージョンは、文字盤から機構の一部が見える。ステンレススティール・ケース、直径44mm、手巻き。1417万5000円

まずはじめは、「トゥールビヨン・トリレトロ」。これは、トゥールビヨン(重力の影響で生じる誤差の補正機構)という高度な複雑機構と、60秒を3分割してレトログラード秒針が秒を表示する機構を組み合わせたもの。3本の針が0秒から20秒、20秒から40秒、40秒から60秒へとリレー表示を繰り返す、後者のトリプル・レトログラード・セコンドについては以前に発表済みだが、今回の新作では、メカニズムをさらに洗練。リバース運動がさらに凝った仕組みになっている。6時位置のトゥールビヨンとの一体感を高めたデザインも新鮮だ。

また、同一の機構でクラッシック・タイプとスポーツ・タイプでデザインの印象がまったく異なるのもおもしろい。トゥールビヨンを装備する高価な時計には違いないが、買える買えないは別として一見の価値はたしかにある。

ピエール・クンツ「ベルエポック」
スクエアケースとアールデコの意匠を採り入れた文字盤のデザインが調和する「ベルエポック」。18Kグレイゴールド・ケース、サイズ41mm、自動巻き。252万円

さて、もう一つのレトログラードは、「ベルエポック」という麗しいネーミングの新作。その名のように20世紀初頭の古き良き時代にインスパイアされ、アールデコの意匠を採り入れたモデルだ。アールデコ建築の象徴とされるニューヨーク、クライスラー・ビルの建築様式を採り入れた6時位置のレトログラード・セコンドをはじめ、シャイニーな文字盤に配された独特の数字にそうした趣がよく表現されている。ピエール・クンツは、機構の開発ばかりでなく、一流の時計デザイナーでもある。彼のアーティスティックな感性が垣間見える秀作だ。

【問い合わせ先】
ピエール・クンツ東京(ワールド通商)TEL03-3400-5717
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