2008年はスポーツウォッチ百花繚乱
今回取材したブランド数は、バーゼルで約50、ジュネーブはSIHHと独立開催を合わせて約30にのぼった。実際に見たり、手に取ったモデル数でいえば、500本は下回らないだろう。
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ブラック、異素材ミックス、マルチレイヤー文字盤の先駆者ウブロの新作「ビッグ・バン アエロ・バン」 |
全体的にスポーツウォッチが非常に印象に残った。一口にスポーツウォッチといっても、特定のスポーツに関連する時計もあれば、デザインにスポーティ感を際立たせた時計までじつに幅広い。いかにもクラシック然とした機械式時計をのぞくほとんどがこのスポーツウォッチのカテゴリーに入ると考えて間違いない。今年がオリンピックイヤーであることも、そんなムードを醸成しているのかもしれない。作り手の側からすれば、シンプルなドレスウォッチよりもスポーティな時計のほうが、ケース形状、素材、カラー、機能などさまざまな点で野心的な試みが可能なので、新作の開発には格好な分野だ。
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トレンディな黒ずくめのダイバーズ・クロノグラフ。ベル&ロス「BR02 クロノグラフ」 |
スポーツウォッチでは、クロノグラフやダイバーズが多く、デザインの点で目立つのは、大型の力強いケースと、ブラックの色彩。文字盤はブラック、ケースやムーブメントの部品までもブラックで彩る手法がさまざまなブランドの新作で顕著に見られる。文字盤の複雑化も興味深い。アプライドを多用したり凹凸感やサブダイアルの装飾に変化を持たせて立体感の強調したり、マルチレイヤーによる多層構造にしたり、あるいは文字盤をくり抜いてムーブメントを見せるといった凝った手法が見られる。こうした新コンセプトによる21世紀らしいスポーツ・ラグジュアリー・ウォッチがいま一番旬なトレンドといえるだろう。
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