男の腕時計/その他の国の時計

機械式の魅力にあふれるクロノスイス(2ページ目)

愛用時計には、時計師の人柄や哲学、特別なこだわりなどに感銘を受けて購入したものもある。ゲルト・リュディガー・ラング氏がオーナーを務めるクロノスイスというブランドの「カイロス・ルナ」はその一つ。

執筆者:菅原 茂

機械式時計らしさを伝えるデザイン

ラング氏と筆者
2002年ミュンヘンの工房を訪れた際に、ラング氏は膨大なアンティーク・ウォッチやかつての機械式ムーブメントのストックを特別に披露してくれた
クロノスイス「カイロス・ルナ」
愛用品と同じ「カイロス・ルナ」の現行品。自動巻き、ステンレススティール・ケース。52万5000円
来日の際やミュンヘンの工房で何度もラング氏とお目にかかり、彼の時計哲学を深く知るに及んで、ますますクロノスイスの時計を1本は手に入れたいと思うようになった。

そして、選んだのは「カイロス・ルナ」というモデルだった。6時の位置の大きなムーンフェズが特徴的な、トリプル・カレンダー(日付・曜日・12か月名を表示)付きの自動巻きモデルである。

気に入った最大のポイントは、デザインに伝統的な機械式時計のエッセンスが詰まっているところ。2世紀前のブレゲ時計に通じる、優雅な装飾で彩られたシルバー文字盤、戦前の複雑時計を思わせるトリプル・カレンダー・ムーンフェイズ表示などは、ラング氏の趣味が色濃いが、そこがまた他に代え難い魅力である。

最近「トレンディ」と称される派手で存在感を強調した時計とはまったく異なり、味わいや品格を重視した良質のクラシシズムが全体を包んでいる。それは、「機械式時計には、機械式時計らしいデザインが不可欠」というクロノスイスのすべての時計に共通する明快なコンセプトの表れである。

この記事はじつは、スイスの時計展示会「バーゼルワールド」の期間中にしたためている。クロノスイスを訪れたが、今年の新製品も、まったくブレは見られなかった。

会場である時計師と話しをしたときのことだが、「あなたの考え方は、ラング氏を思い起こす」と意見を述べると、「その通り。彼は親しい友人だよ」とにっこり。共感者を発見し、嬉しい気分になった。


【クロノスイスの問い合わせ先】
ワールド通商
TEL03-3549-3011
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