男の腕時計/その他の国の時計

機械式の魅力にあふれるクロノスイス

愛用時計には、時計師の人柄や哲学、特別なこだわりなどに感銘を受けて購入したものもある。ゲルト・リュディガー・ラング氏がオーナーを務めるクロノスイスというブランドの「カイロス・ルナ」はその一つ。

執筆者:菅原 茂

スイス製よりスイスらしいドイツ時計

「クロノスイス」とは、「スイス時計」の意味。しかし、スイスではなくドイツのミュンヘンに拠点を置くブランドである。オーナーで、時計師のゲルト・リュディガー・ラング氏が1984年にこの名を商標登録、1987年に初のモデル「レギュレーター」を発表したのが始まりだ。

スイスで100年以上も続く老舗に比べれば歴史は浅いのだが、このブランド名は意味深長だ。そこには、ラング氏みずからの思いがたっぷり込められている。
クロノスイス・カイロスルナ
「カイロス・ルナ」は、スーツスタイルにもしっくり馴染む。サイドから見ると、寸胴型のケースが独特。撮影:高橋義太郎

実際、ドイツ人の彼は、スイスのホイヤー社(現タグ・ホイヤー社)で16年も活躍していた人物。しかし、1970年代から80年代にかけて世界を席巻したクォーツ時計のおかげでスイスの機械式時計はほぼ全滅。彼もドイツに戻り、ミュンヘンで伝統的な機械式時計を自身で作り出すことに決めた。

周囲にクォーツ時計があふれる中で、伝統的なスイス時計の継承者をもって任じ、孤軍奮闘する彼は、「時代に逆行する頭のおかしい男」と揶揄されたそうだ。

1980年代後半になると、時計の流れは再び機械時計に戻る兆しが見えてきた。スイスのメーカーも、高級時計は、職人技を発揮した機械式にこそ価値があり、味わいもあると気付き始めた。それはラング氏にとっては順風になった。1987年の「レギュレーター」を皮切りに、彼は次々と独創的なモデルを発表して、機械式特有の魅力を多くの人に再発見させることに成功したのである。やがて「スイスよりスイスらしいドイツ時計」と絶賛されるようになるとは、なんという運命のいたずらだろう。

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