“7”譲りのシンプルだが、細部に凝ったスタイルが魅力
7年ぶりにモデルチェンジを果たしたアッパーミディアムサルーン。サイズは全長4910×全幅1860× 全高1475mmと旧型より全長55mm/全幅15mm大きく、 5mm低くなった。日本には3リッター直6エンジンを積む528i(715万円)と直6ターボの535i(835万円)、4.4リッターV8ツインターボの550i(1040万円)をラインナップする。写真は535i |
1972年のE12型からはじまって、これで6世代目。BMWツウを気取って型式名で呼べば、F10(サルーン)/F11(ワゴン:日本未導入)である。ちなみに、生産が終了した6シリーズだが、次期型も当然5シリーズがベースで、そちらはF12(クーペ)/F13(カブリオレ)となるはず。
今のところ528/535/550の3グレード構成となった日本仕様。メカニズム的には、グランツーリスモとほとんど変わらないと思っていい。あちらは7シリーズショートがそのまんまベースだったが、5シリーズはさらにホイールベースを100mm縮めて、リアにはエアサスではなくコイルバネを用いている。シャシーの成り立ちなどは同じ。
最近のBMWエンジンラインナップは、車名の数字と排気量が合致せず、そのうえベースとなるエンジンも過渡期にあって混在しているから、ちょっと分かりにくい。整理しておこう。528にはN52系3リッター直6自然吸気を、535にはN55系3リッター直噴直6シングルターボを、そして550にはN63系4.4リッター直噴V8ツインターボを、それぞれ積んでいる。注意したいのが、直6のふたつのエンジンで、N55が最新タイプとなる。
見た目には、明らかに現行7シリーズのテイストに沿っており、それはいつの時代もBMWの伝統である。7をぐっと縮めたようなスタイリングゆえ、塊感があって美しいサルーン形状である。凝りに凝ったバングルデザインの旧型に比べれば、かなりシンプルなカタチに見えてしまうわけだが、それでいて鋭角につまみ上げられたサイドキャラクターサインやフクザツな造形の灯火類などを見れば判るとおり、ディテールはかなり凝っている。
インテリアも最近のBMWテイスト。というか、ほとんど同じ雰囲気だ。T字型に張り出したダッシュボードはドライバー側に傾けられていて、各種スイッチ類もゾーン別に整理されている。最新モデルのBMWならば、どのシリーズに乗っても“わが家のクルマ”と同じように乗れてしまう。逆に言えば、どれに乗っても同じで新鮮みも有り難みもなかったりするわけだが。
回生ブレーキの採用と8速ATの搭載が、パフォーマンス面での大きなニュースになるだろうか。
オフの状態ではマットブラックで、イグニッションをオンにするとメーター類が表示されるブラックパネルテクノロジーを装備。シートやドアトリムには標準でダコタレザーを採用している |
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