国内初となるキャデラックのワゴン
本国では08年8月に発表された、キャデラックCTSのワゴンモデル。サイズはセダンと同じ、全長4870×全幅1850×全高1470mm。価格は3.0スタンダードが515万円、ラグジュアリーが544万円、プレミアム(写真)が575.4万円、3.6プレミアムが666万円となる |
新生GMのアジアパシフィックジャパン社長に45歳の石井澄人氏が就任した。われわれと同世代(1964年生まれ)であり、GMJ初の生え抜き日本人社長ということもあってとても注目されているが、私は彼の5年におよぶアメリカ本社勤務という経験と実績に期待大だと思っている。
国産メーカー勤務の経験もあり、GMではサターンやサービス部門で実績を積んだ。それに加えての本社経験。要するに、彼は本社に対してモノを言える人なんじゃないか、という期待だ。カマロの迅速な日本デビューなどはその好例だろう。石井氏のがんばり次第で、アメリカ車の日本におけるイメージがプラスにもマイナスにもなりうる。いかに潜在的な日本人のアメリカ車イメージを育てて変えるか。ひとつの答えがカマロだったろうし、新しい解はボルトの“見せ方”にあるのかも知れない。
そんな彼のプレゼンではじまったCTSワゴンの発表試乗会。キャデラックブランドはアメリカらしさの頂点にあるが、CTSに限らず最近のキャデラック車はといえば、どちらかというと欧州寄りのコンセプトをもつクルマが多い。
それゆえ、現行モデルにおいて劇的な進化を果たし、パフォーマンスや見栄えで欧州や日本のライバルたち(D&Eセグメント)にまったく引けをとらないクルマになったにも関わらず、日本のクルマ好きにはイマイチそれが理解されていない。そこがとても残念。まあ、街で見ないし、売ってる場所も少ないから仕方ないのだけれど。
端的に言って、アメリカらしいラグジュアリィモダンな見栄えと、米欧の良いとこどりを狙った走りの性能が、このクルマのウリ(であり、日本人には分かり辛い点)だ。モデルレンジも、セダン→高性能版(CTS-V)→クーペ→ワゴン→クーペ高性能版(CTS-V)と、まるで欧州プレミアムブランドと同じ手法に則って展開されている。
サスペンションは3リッターモデルにはFE2と呼ばれるスポーツサスペンションを装着。3.6リッターモデルには、FE3と呼ばれるダイレクトなドライブフィールをもつパフォーマンスサスペンションが備わる |
後ろからの眺めが“派手”なワゴンは珍しい。彫刻的な塊のなかに、エッジの利いたラインが交錯し、そこにランプやメッキが映える。セダン同様のサイドウィンドウ形状とすることで、エンドピラーに独特のデザイン性をもたせた。ルーフに埋め込まれたカタチのレールも、シルバーアクセサリーのようで格好いい。プレミアムブランドらしく、単に実用性だけを追求したワゴンではない、ということ。キャデラックとしては、欧州向けのBTSに次ぐ、史上2モデルめのワゴンとなった。
注目は新しい直噴3リッターV6エンジン搭載車の登場である。上級の直噴3.6リッター版には19インチタイヤとスポーティな味付けのFE3サスペンションが組み合わされているが、3リッターには18インチとFE2サスが搭載される。ワゴンとなって、はたして乗り味はどう変わったか。
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