左ハンドル導入にGMの変化を感じた
7年ぶりに復活した4シータークーペ。日本には3.6リッター直噴エンジンを搭載したLT RS(写真)と6.2リッターのSS RSの2グレードが導入された。価格はLT RSが430万円、SSが535万円となる |
今年春のデビュー以降、本国ではすでに5万台近くも売れたらしい。でもってカマロは新生GMの象徴だ、なんていわれてしまうとちょっとお先が心配(いやいやクルマはすごくいいのです)になってしまうが、“シボレーブランド、やっぱり強し”という意味でなら、GMビジネスの今後を支える強力なバックボーンとして、その存在は大いに強みとなるだろう。
もちろんカマロそのものは、企画としては破綻前のものだし、決してオリジナリティのある商品コンセプト(いわゆるポニーカー世代に向けたレトロモダナイズだ)でもないから、このクルマ単体を斟酌してGMの未来を占うことなど全くできっこない。アメリカ人の、GMではなくシボレーへのロイヤリティの深さを計る良い機会、ぐらいなもんで、こんなクルマを出しているから新生GMもだめだ、とも、こんなクルマを作れるんだから新生GMは安泰だ、とも言ってはならない。そのどちらでもない。
ただ、ひとつだけ言えるのは、きれいすっきり身辺整理の終わった新生GMは、シボレーやキャデラック、そして中国で頑張るビュイックといった強力ブランドを旨く活用しながら、アメリカ政府の優先政策に上手く便乗しつつ、われわれが想像する以上に早く再生を遂げ、アメリカと新興市場において新たな自動車秩序を形成するスタープレーヤーに復活する、ということ。そう、新型カマロとは関係なしにだ。
ひとつだけ、今回のカマロ日本導入にあたって、変わったGMを感じたのは、左ハンドルのままこのタイミングで輸入に踏み切れたこと。以前なら、右仕様を待って、日本への法規対応を本国が対策してくれるのを待って、満を持し過ぎての導入になっていたに違いない。ところが今回は、アジアパシフィック側の意思を汲み取って本国も素早い決定を下したという。巨人GMのイメージとはほど遠い、小回りの利いた経営を見せてくれたという点など、カマロ日本導入から読み取るべきことは多い。
GM、恐るに足らず、なんて滅相もない。逆に、GM恐るべし。今はそれだけ言っておく。
カマロについては次ページで