数年後のEV化まで視野に
専用チューンされた6.2リッターV8エンジンは最高出力571hp/最大トルク650Nmを発生。新開発デュアルクラッチ7速2ペダルMTのAMGスピードシフトDCT-7が組み合わせられる。0-100km/h加速3.8秒、最高速度317km/hを誇る |
○は、よく動きよく踏ん張るシャシーとフラットかつ俊敏なドライサンプ6.2リッターV8エンジンの組み合わせが、刺激とドライバビリティを上手にバランスしてドライバーに提供されていること。ガルウィングスタイルと相まって、所有欲を大いに掻き立てる。外で聞くV8サウンドも相当に刺激的。レーシングの音はちょっと昔のアメリカンマッスルみたい。
反対に×もあった。それはトランスミッションのフィール。今回、新たにゲトラグと共同開発の7速DCT(ダブルクラッチ)を採用しているが、アップはともかく、ダウンシフトのフィーリングがいまいちパッとしない。変速時間は短いのだろうが、乗り手にそう伝わらずもどかしい。そのあたりの演出力にかけては、赤い馬に見習う点も多い。もっともアチラはメルセデス的な耐久性を全く考慮に入れていない節もあるが。
シフト横の走行モード選択スイッチにより、C(コンフォート)/S(スポーツ)/S+(スポーツプラス)/M(マニュアル)が選択可能。さらに最大限の加速でスタートできるRC(レーススタート)も備わっている |
2500万円前後という価格設定(たぶん)もあって、相当な人気を博すことは間違いない(欲しい人は急いでベンツ販売店へ。今度はSLRマクラーレンのようにベンツ日本直売じゃない)。「売れるだけ造りたい」とAMG 関係者は言っていたが、1マン1モーターの63エンジンやアルミ構造物(マグナ社製)の生産効率を考えると、そうむやみには造れないはず。納車待ちの列は避けようもない。
フランクフルトでもショーカーがお披露目されていたが、彼らのビジョンには数年後のEV化も真剣に見据えられていた。実はSLSの開発責任者は元スマートEVの担当者でもあった。金のかかる先進技術はまず高額車から。面白い展開が期待できそうだ。