重厚なライドフィールはSクラスそのもの
モーターは発進や加速時などにエンジンをサポートし負荷を軽減。減速時にはジェネレーターとして、バッテリーを充電する回生ブレーキ機能が働く。また減速中に15km/h以下になるとエンジンが停止してアイドリングストップとなるECOスタートストップ機能を備える |
○は、速度に乗ってしまえば重厚なSクラスそのもの、というライドフィールである。これは絶対に譲れなかったところだろうし、それほど複雑な仕組みを使っているわけでもないので、メルセデスの技術力をもってすれば当然の結果とも言える。高速クルージング中にSクラスらしさがある、という点では期待外れにはならない。
反対に×だったのは、ハイブリッド化によって新たに加わった、乗り手への知覚要素だ。具体的には、アイドリングストップからスタートするときの安っぽい震え、ブレーキから伝わってくる足の裏を押し上げるような圧力感、そして軽いシステムだとはいえやはり重量増を感じること(全体的に動きが重々しい)、である。
特に、エンジン再スタート時の“ぶるん”という震えは、アイドリングストップする他のクルマに比べればマシではあるものの、他のクルマは大衆車、Sクラスは超高級車である。マシなのは当然、比べる方がおかしいわけで、多少いいくらいじゃ納得できない。物理的に無理だということはないと思う。今後の課題だ。ちなみに、時速15km/h以下になってストップする際には、ほとんど嫌味な知覚はない。
もっとも、ロングボディのSクラスでハイブリッド、ほとんどが法人需要ということを考えれば、うしろでふんぞり返る人にとって、絶対パフォーマンスも、エンジンの震えも、別に関係ないことかも知れないけれど。そういう意味では、S550やS600のステータス性はその数字にのみあったとも言えるわけで、ならば550や600という数字の代わりに HYBRIDというエンブレムをお金持ちが選択したということになれば、ハイブリッドの商品価値は今後、益々上がるということになるだろう。
V8エンジンにモーターを組み合わせ、システム全体の最高出力を465psとしたBMWアクティブハイブリッド7。価格はショートが1280万、ロングが1405万円 |
通常モデルとの差はセンター部の「HYBRID」のエンブレムと、スピードメーター内に表示されるインジケーターのみとなる |
バッテリーの充電状況やモーターのアシスト状況は、スピードメーター内のマルチファンクションディスプレイに表示される |