サーキットでも楽しい、初めてのモダンベントレー
コンピューターチューンによってターボブースト圧の増強が図られ、コンチネンタルGTスピードより最高出力が20ps向上した。軽量コンポーネントの採用や、サスペンションの変更なども行われた |
試乗した場所は、スペイン第4の都市、セビーリャ。エルブリがプロデュースしたプチホテルをスタートして山間部を走りまわり、最後はセビーリャ郊外のモンテビアンコ・サーキットでその性能を思う存分に試した。
ホテルエントランスの石畳を走りはじめた瞬間、「あ、違う!」と感じた。クルマがぎゅっと凝縮したようで、ノーズの動きもノーマルに比べるとスムースで軽い。感覚的には15%くらい小さいコンチネンタルGTに乗ったようだ。それでいて、乗り心地の劣化がみられない。ベントレーらしさを保ったまま、ただただ動きがなめらかに、華麗になった。
スペインの小さな街では路駐も多く、道がかなり狭い。そのうえバイクがひっきりなしにすり抜けるからけっこう気を遣うが、クルマを小さく感じるせいか、それほど精神的な負担がない。特に、前の重量を不必要に感じない点が嬉しい。
高速道路にのって、郊外のワインディングを目指す。低回転域からのトルクのノリがGTスピードあたりとは違う。パワーアップしたエンジンと軽量化による絶対加速性能の違いがそのまま感覚の違いとなって現れた。6ATの変速時間もノーマルよりかなり短く、しかもシフトアップ時には燃料カットしてくれるからダイレクト感があり、サウンドも豪快だ。ひっくるめてGTスピード1割増の速さ気分である。
110kgの軽量化を果たしたとはいえ、車重は2トンを超える。さすがにワインディングを楽しむのは辛かろう、と思いきや、案に反してけっこういける。いや、最初の方こそ重量を意識するものの、リズムにのってくればかなり楽しんで走れる。ステアリング中央の正確さが増して、最初の動きがとても素直。ノーマルにはくずれながら折れて曲がる感覚があるが、スーパースポーツは自然でキビキビ感さえある。足回りの軽量化にくわえて、ノーマルの50:50に対して40:60と後輪寄りに駆動力配分した4WDシステムの効果もあるだろう。これは、サーキットも俄然、楽しみになってきたぞ……。
案の定、モダンベントレーとしては初めて、サーキットで乗っても“楽しい”と思えるクルマに仕上がっていた。重量はもちろん感じるのだけれど、それを使いこなす筋力が備わっている。技量があれば、豪快なドリフトも演技可能。市販車最大級のカーボンディスク付きブレーキもよく効く。もっとも、いったいどれだけのオーナーがこのクルマをサーキットで楽しむのかは、知らないけれど……。
結論:当然だけど、最高のコンチネンタルGTだった。
インテリアはシングル/ツートーンから選択可能なだけでなく、色やパイピングなどがオーナーの好みで選ぶことができる。なお後席を取り付けることで4シーター仕様にできるオプション(66.49万円)も用意される |