クーペに十中八九の戦略は必要なし
実質的なCLKクラスの後継となるミドルクラスの2ドアクーペ。日本にはE350クーペ(860万円、写真)とE550クーペ(1095万円)が導入された。サイズは全長4705×全幅1785×全高1395(350)。左右バンパー開口部に付くLEDナイトドライビングライトは日本仕様では初となる |
久しぶりにグッとくるクーペが我が家のガレージにやってきた。E350クーペ。試乗車の色がいい。赤。そして大胆にあしらわれたクローム。朱発色の鮮やかな赤にはビカビカのクロームがよく似合うと思う。
戦前のアルファロメオクーペやデライエあたりのコーディネート。メッキをいやがる人も多いが、同じくらい好きな人もいるから、クーペは十中八九な戦略ではなく、十中コンマ三か五でいい。このエクステリアを見ただけで、ちょっと欲しくなっちゃう人間も、現にここにいたりするのだから。
そもそもEクラスの見栄えがより豪華になったから、そのモチーフの多くを持ち込んだ復活Eクーペも、CLKクラス後継とは思えないほど立派なクーペにみえる。そこも、ソリッドレッドが似合う理由だ。そう、赤って半端なクルマには似合わない。
比べて、インテリアは大人しい。大人しすぎる。色遣いはまだ何とかできるとしても、ハイバックのシートだけじゃツマラナイ。Cクラスベースのコクピットの見た目をEセダンに近づけようとしたわけだけど、どうせ違うものを作るんだったら、もっとクーペ流に崩した雰囲気にして欲しかった。そこまでEのクーペであることに固執するのは、かえって貧乏くさいと思うのだが……。
BピラーレスのサイドウインドウはM・ベンツのクーペ伝統のデザイン。エクステリアはスタイリッシュなだけでなく、Cd値は0.24を達成し燃費向上にも貢献している |
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