単にルーフを取り去っただけではない
ギアボックス、ディファレンシャル、油圧ユニットなどを後方に配置することで前後重量配分を49:51に均等化。リアを駆動するFRレイアウトを採用した |
7月末。バロッコ(フィアットオートのプルービンググラウンドがある)で、プリプロダクションモデル(最終プロト)の試乗会が開催された。バカンス直前ということでイタリア人スタッフは何となくそわそわしているような気がしたが……。
クーペのルーフを単に取り去っただけのクルマ、ではもちろんない。オープン化にあたっては、燃料タンクの位置を前に50cmも移動し、それに併せてもちろん足回りはチューニングされ、ボディ剛性も強化されている。開発者いわく、基本的にはクーペと同じ走りを開発目標にし、結果的にはやや洗練された味付けのライドフィールになったという。
ルーフはソフトトップ。重量増を可能な限り抑えたかったため、あえて複雑なシステムのリトラクタブルハードルーフは採用しなかった。スタイリング的にエレガントにしたい、という思いも強かっただろう。初めてみたクローズドスタイルもクラシカルでなかなか格好いいと思う。
外観的にクーペと違うのは、ブラックアウトされたAピラーとミラー、トランクリッドといった、トランク周辺だけである。パワートレインなど、メカニズムは基本的に変更なし。ただ、カーボンコンポジットブレーキ(CCM、ブレンボ製)が標準装備されることに。その分、お値段も相当アップしてしまったが……。
パネルやダッシュボードなどにカーボンコンポジット材が用いられたインテリア |
カーボン製シェル構造のバケットシートを採用。フラウ社製レザーが用いられ、4色から選択できる |
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