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Mモデルの“新境地”を開いたX6 M(2ページ目)

BMWの高性能シリーズMモデル初のSUV、X6Mにアメリカで試乗してきました。ターボエンジン×ATを搭載し、より高級仕立てのインテリアをもった、“Mモデルの新境地を担う”スペシャルモデルの走りは……。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

信じ難いほどのハンドリングマシン

BMW X6 M
最高出力555ps/最大トルク680Nmを発生する、V8ツインスクロール・ツインターボエンジンを搭載。エンジンとミッションの制御は、燃費を向上させる「Efficiency」とダイナミックな走りの「Sport」が選択できる。また車高を10mm低くするなど専用チューニングされたシャシーコントロールシステム(アダプティブドライブ)も装備。Mドライブボタンでダンパー設定などを変更できる

乗り込むと、見慣れたインテリアが広がっている。Mモデルに必ずあった、硬派なスポーツ性によって自然と引き出された気分の昂揚は、残念ながらない。より高級仕立て、ラグジュアリーなX6という雰囲気である。きっと、これもMの新たな狙いなのだろう。

トルコンATを組み合わせているだけあって、発進からタウンスピードまで、そのライドフィールはスムースのひと言。550psの心臓を飲み込んでいるとはとても思えない。電子ダンパーシステム(EDC)をノーマルにしておけば、乗り心地だって快適そのもの。あまりにも洗練された乗り味に拍子抜けして思わずEDCをスポーツモードにしてみたが、それでも心持ち硬くなってクルマの動きがよりリズミカルになるだけで、不快なほど硬いということはない。

BMW X6 M
肩までのサイドサポートをもつ、メリノレザーを使用したMスポーツシートを装着。トリムはブラッシュド・アルミとし、オプションでブラック・レザー・カーボン・ストラクチャーなどを用意した。8.8インチディスプレィも備わる

BMW X6 M
青と赤のステッチが入ったマルチファンクション・Mスポーツ・レザー・ステアリングにはMドライブボタンなどが備わる
試乗車はサーキットへ。ロード・アトランタだ(試乗会はアトランタで行われた。それはX5とX6がこの近郊で生産されているからだ)。ステアリングのMボタン(Mドライブボタン)を押し、あらかじめセットされたスポーツモードで臨戦態勢に入る。それはそうと、この○にMのデザイン、もう少し何とかならないものか。あまりにも質素でさりげなさすぎ。せめてMモデルのイメージカラーを使ったものか、Mのロゴにして欲しいものだ。

このクラスとしては初の、前後異サイズタイヤを履いている。それゆえ、Xドライブ(4WD)も単なるトラクション稼ぎの道具ではない。FRのように積極的に走りを楽しめるように作動するのだ。

マニュアルでのシフトアップ時には、全くトルコンのスリップを感じさせない。アクセルペダルを踏みっぱなしでもバッバッバッバッとサウンドも派手に加速してゆく。550psのターボカーであることをそれほど意識させないエンジンフィールも、Mモデルらしくていい。端的に言って、数字ほどの速さを感じない。

とはいえ、速度計を見ると恐ろしい領域に達している。速さを感じないのは、ちょっともったいない気分。カイエンターボのように、重量物がすっ飛んで制御できなくなるんじゃないか、というスリルも一興だからだ。

シフトダウン時のブリッピングも抑え気味。派手にエンジンを回さなくても十分に対応できるのだろうが、Mモード時くらい派手にやって欲しかった。気になったのはブレーキのフィール。かなり奥めで効く。相当な重量物であることをあえて、ドライバーに伝えたいのだろうか。もう少し手間でガツンと効いてくれる方が安心して飛ばせると思うのだが……。

サーキットでは信じ難いほどのハンドリングマシンへと転じた。背が高いことのデメリットをほとんど感じない。むしろ見晴らしがいい分、アップダウンの激しいロード・アトランタのようなサーキットでは重宝した。前輪の食いつきを意識しつつ、慌ててアクセルペダルを開き過ぎないようにアペックスに向かう。見晴らしのいいコクピットから、ただただマシンがコーナーを駆け抜けるのを待つのみ。そして、態勢が整った時点で、ガバッとアクセルを全開!!

サーキットで最速、街中で快適。Mモデルの新境地が見えてきた。ちなみに、パフォーマンス的には、ワイドフェンダー化で迫力のX5Mも同様とのことだ。
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