マイチェンを機にS400ハイブリッドを追加
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マイナーチェンジによりバンパー中央下部が尖り、デイタイムライトを組み込んだバンパーやサイドミラーも新デザインとされた(写真はすべてS400ハイブリッド) |
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対向車を感知し自動的にハイビームとロービームを切り替えるアダプティブハイビームを装備 |
デビュー以来4年、全世界ですでに約27万台も売り切ったW221型現行Sクラスがはじめてのマイナーチェンジを受けた。より存在感を増したフロントグリル、LEDを多用した前後ランプ類、前後のバンパー、ステアリングホイールやセンターコンソールなど、デザイン的な変更も気になるが、何と言っても注目はM・ベンツ初となるハイブリッド市販車、S400ハイブリッドの存在だ。
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最高出力279ps/最大トルク350Nmの改良型3.5リッターV6エンジンに最高出力20ps/最大トルク160Nmのモーターを組み合わせた。エンジンルーム内の通常モデルとの差異はエンジンルームの助手席側にリチウムイオンバッテリーが組み込まれること |
ホンダでおなじみ、所謂マイルドハイブリッドという類のシステムで、見かけ上はそれほど難しい仕組みではない。ノーマル用よりも圧縮比を高めた3.5リッターV6エンジンと7ATの7Gトロニックとの間に、スターター兼オルタネーターの三相交流モーターを組み込んだディスク型ハイブリッドモジュール(システム重量75キロ)を挟み込んでいる。フロントフードの助手席側(左ハンドル車)すぐ前に納められたバッテリーは、次世代システム用として期待の小型で高出力、リチウムイオンバッテリー(仏ザフ社製)だ。ちなみに、システムサプライヤーは独コンチネンタル社。
もちろん、燃費向上に最も効果的なアイドルストップや回生ブレーキシステムが備わっており、これらによってカタログ燃費で12.7km/l、CO2排出量186g/kmを達成したという。ビッグサルーンクラスでは最高レベル。ベース車のS350に比べてざっと2割の燃費パフォーマンスアップで、国産車で言えばレクサスGS450h級のエコパフォーマンスを得ている。
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走行車線からの逸脱を予防するレーンキープアシスト、道路標識を認識し制限速度を知らせるスピードリミットアシストなど最新装備を数多く採用 |
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ハイブリッドモデルとしての外観上の違いはこのエンブレムだけ |
S400ハイブリッドには、国産某車のように他ラインナップと差別化するような、ハイブリッド専用の外観の演出はない。トランクリッド右側に、ごく控えめなHYBRIDエンブレムがある程度だ。国産モデルほどじゃないにしても、もう少し分かり易い演出もあっていいと思うが、M・ベンツとしてはあくまでもこのクルマ、ハイブリッド車である前にSクラスという最高級サルーンであるという思いが強いのだろう。実際、S600には違うグリルを付けている。最高のサルーンであるがゆえ、最上の選択にだけ差別化を施すということか。
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