ドライバーを“走”へとかき立てるフラッグシップ
ルーフ、前後ドア、エンジンフード、フロントフェンダーをアルミ合金とすることで軽量化が図られた。バッテリー容量が十分な時には加速時のオルタネーター駆動をカットすることで消費燃料を抑える、ブレーキ・エネルギー回生システムも採用する(写真は740i) |
ブラックアウトされた空間に、エレガントな腕時計のベゼルのようなシルバーのリングが、くっきりと浮かびあがっている。エンジンが目覚めた。鮮明な数字と機能の数々が浮かび上がり、ドライバーを“走”へとかき立てる。しかし、このクルマは全長5mオーバーの高級サルーンなのだ。
BMWの7シリーズといえば、走りを磨き上げた大型スポーツサルーンの代名詞。新型で第五世代を迎えてツウによる型式呼称もついにEからFへと変わったけれど、その志は全く変わっていない。否、いっそう過激になったと言っていいかも。
先代モデルは、押しの強い立派なスタイリングとユニークなディテール処理、さらには初めて運転席に座らされたらしばらくは動かせなかった運転作法の劇的変化など、かなりぶっとんだクルマだった。
もちろん、走り出せば巨体と重量をものともしないダイナミックパフォーマンスをみせてくれたものだが、どうやら保守的な層にはイマイチ、ウケが悪かったよう。
代わりにと言ってはなんだけど、新興マーケットの成金ユーザーやラップミュージシャン、その筋の方々には威風堂々のスタイリングが大人気だったので、販売台数的には歴代で最も成功したモデルということになってはいたが。
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