洗練され“GTカーより”になった新型Z4の走り
新世代ダイナミックスタビリティコントロールのDSCを装備。DDC(ドライビングダイナミクスコントロール)は、ボタン操作で3つの走行モードが選択できる |
そんな背景もあってか、新型Z4の走りは、以前に比べるとより洗練された、どちらかと言えばGTカーよりのものだったという印象が強い。
もちろん、スポーツ性は間違いなく向上している。統合制御のDDCをスポーツ+にすれば、300psオーバーの直6直噴ツインターボエンジンのパフォーマンスが7速ダブルクラッチシステムによってフルに引き出され、Mモデルも真っ青な走りを見せつけるのだ。特に4500回転を超えたあたりからのサウンドと、背中の後ろでけり飛ばされるようなFR独特のライドフィールは、スポーツカーとして最上のもののひとつ。そのあたりの性能と演出は、旧型を大きく上回る。
けれども、尚、上質になったと思わせる何かがある。
例えば、足の動き。よく動く前足はスポーツドライブに最適だが、その一方で、動きのひとつひとつの質感が非常に高く、それを確かめながらのドライブが気持ちいい。ややもすると、スピードを上げずに、その一挙一足を味わっている自分がいる。そう、ゆっくり走っていても気持ちのいいビーエム、なのだ。そこが、最近のBMWとはちょっと違う。
sドライブ35iには最高出力306ps/最大トルク400Nmを発生する3リッターの直6直噴ターボエンジンを搭載する |
リトラクタブルハードルーフ仕様になったことも大きい。小型の開閉式ハードルーフモデルとしては異例にエレガントなクローズドスタイル(内外装ともにコンセプトデザインを女性が手がけた)である。そういう意味では、走りとスタイルの調和が取れているとも言える。アルミニウム製ハードルーフは重量も軽く、開閉前後で走りのバランスを大きく崩していないのも印象的だった。開閉時間はおよそ20秒。走行中の開閉は不可。
ノーマルモードでの乗り心地はソフトではない。芯をゴムで包んだような硬さはあるが、助手席の不平は最低限に抑えられそう。それよりも高速域での安定感が増した。フラットで非常に気分がいい。やはりGTカー的要素が濃くなったように思う。
ロングノーズ、大きなホイールアーチ、ロングホイールベースやショートオーバーハングが特徴的なエクステリア |
グレード紹介をしておこう。直6直噴ツインターボを積む最上級グレードは、sドライブ35iである。sドライブとは、リムジンシリーズ以外で2WDを意味するもの。本国には6MT仕様もあるが、日本へは7速DSTのみが導入される予定。
その他、sドライブ30iという3リッター直6自然吸気モデルも存在するが、日本への導入予定はない。代わりに、2.5リッター直6のsドライブ23iがやってくる予定だ。こちらには6ATが組み合わされる。
スポーツモデルらしい、リアアクスルに近い低いシートポジション。新世代のiドライブも装着される |