最強スポーツカーブランドの意地と矜持
大きな垂直式インテーク開口部や大きく張り出したリアフェンダーが特徴的なエクステリア |
見所はエンジンだけではない。通常時においても前40:後60というダイナミックな駆動力分配とした4WDシステムと、従来よりも5割クイックな変速をみせるZF6HP26(6速)オートマチックトランスミッションが採用された。特に新6ATでは、シフトアップ時のフューエルカットやシフトダウン時のブリッピングとダブルダウンシフトを実現しており、これまでのコンチネンタルGT系にはないエキサイティングな変速が期待できそう。
過激なドライブトレインに見合うよう、足回りにも大変更が施されている。専用チューニングのCDCとアルミニウム製フォワードレバーで強化されたフロントサスペンションが、これまでになくシャープでアジリティ豊かなハンドリングをもたらすという。リアトラックは広げられ、275/35ZR20のPゼロUHPが大パワー/大トルクを確実に路面へと伝えるだろう。ESPももちろん専用スポーツチューニングだ。
そして、このクルマを真にスーパースポーツたらしめるのは、軽量化である。実はこのスーパースポーツ、完全2シーターだ。リアシートを取っ払い、カーボンブレーキを採用し、フードやフロントシート、インテリア、シャシー、ホイールなどを軽量化して、GTスピード比で実に110kgもの減量に成功した。バイオフューエル仕様であることを除いても、ハイパワー/ハイアジリティ/軽量化で、“今すぐにでも乗って見たい”と思わせるに十分なスペックだろう。
改めて、コンチネンタルスーパースポーツを観察してみる。フレッシュエアーをさらに取り込むべく、尋常ならざるフロントマスクが与えられた。フード上にもエアベントが見える。これまでシルバーに輝いていた部分がスモークグレーにフィニッシュされているのも特徴だ。ベアリングや高級ツールなどに使われているPVDという凝着処理で、自動車の外装用としては世界初の試み。
ワイドトラック化に伴い、片側で25mmも広げられたリアセクションも相当な迫力である。エンドパイプは新デザインのバンパーにインテグレートされ、独特の雰囲気を醸し出す。空力を考慮し、リアウィンドウの下端がわずかに持ち上げられた。
20インチホイールはもちろん我らがワシマイヤー製(日本BBS)。GTスピード用に比べて1本あたり2.5kgの軽量バージョンである。
カーボン製パネルなどを採用したスポーティな室内空間をもつ |
ドアを開ける。ステップのカーボンプレートにはスーパースポーツのロゴが。室内は明らかにスパルタンだ。コンチネンタルシリーズ初となるカーボンがふんだんに奢られた。
レザーとアルカンタラのスパルコ製スポーツバケットシートが目をひく。ステアリングホイールは、デザインこそスピードと同じだが、ソフトグリップレザーの感触が手にじんわりと心地いい。リアにはもちろんシートはなく、ダイアモンドカット模様とカーボンバーが見えるばかり。内装コーディネートとしては専用に7種類のシングルトーンと3種類の2トーンが設定されていた。
後席が取り外され2シーターとされた。カーボン製リアパネルを備えるライトウエイトスポーツシートを採用 |
21世紀のスーパースポーツへ。スポーツが高級の最重要“マテリアル”となった今、ベントレーは最強スポーツカーブランドとしての意地と矜持を我々に見せつけようとしている。