“ガイシャらしい”クルマを日本へ
ジャガーの流麗なクーペモデルXKに、最高出力426psを発生する4.2リッタースーパーチャージャーエンジンを搭載したトップモデルとなるXKR |
久しぶりに乗って幸せになったのが、XKRとパンダ。特にXKRのアシさばきが誠にすばらしい。そのあたりをチンタラ走るだけで、しみじみと惚れ込んでしまうライドフィールで、ただただ“いいな”という言葉が出たのみ。今度はこれが510馬力になる。楽しみだ。
パンダ&500はといえば、ルノートゥインゴに少し負けちゃったけど、やっぱりフツウに気分よく乗れてよろしい。胃にもたれない、毎日食べても飽きない、マンマの味といったところ。
'08年に一部改良が行われたM・ベンツML63AMG。より迫力あるフロントマスクや21インチアルミホイールも採用された |
大トリは、ML63AMG。まったくもってさらにいかつい風貌になり、浮き世のせちがなさを忘れさせるほど強靭かつ強烈なダイナミックパフォーマンスには、ただただひれ伏すしかない。未だ、超一級のグランドツーリングカーである。この形で!
この不況にあって、輸入車は確かにつらい。国産車だって、軽自動車だってとてもつらいのだから、それは当然だ。国を想う心あらば、国産メーカーの派遣切りや操業休止に心痛めるのがフツウだろうし、この時期にクルマを買うなら“バイ・ジャパン”だと叫んでもいいだろう。ハイブリッド攻勢など、明日を考えているように分かりやすく見えてしまうのも国産ブランドなのだから、当たり前かも知れない。
でも、それを分かって尚、輸入車の、例えば昨日の失敗を忘れさせるデザインや雰囲気を、例えば今日の憂いを片隅に追いやるライドフィールを、例えば明日への糧となりうるドライビングファンを、クルマを真剣に思う人には味わって欲しいと願う。
インポーターには、ぜひ、こういう苦しい時代だからこそ、もっともっとガイシャらしいガイシャを、日本のメーカーが逆立ちしても作れないクルマを、安いのも高いのも、積極的に輸入して欲しいと思う。決して、数だけを狙うのでなく。そんなことを、今年のJAIA試乗会に並んだラインナップを見て、何台かに乗って、思った。