今、最もプジョーらしいネコアシをもつ“207”
荷物を積む可能性の高いワゴンでも“ネコアシ”と評される独特の乗り心地を損なわないよう専用チューンが施される。同時にブレーキも強化 |
乗り込んで最初に感心するのが、室内の広さだ。でかいガラスルーフのせいもあって、頭上にはっきりと開放感がある。後席もシート位置がハッチバックより後方へ下げられたこともあり、足下スペースに余裕ができた。ファミリィーカーとして十分に使える内容だ。
後席はワンタッチでフォールダウンできる。畳み込んだときの積載容量は1258Lと十二分。さらにリアハッチガラスも単独で開閉できるから、小物の収納なども便利だ。
モーターバイクをモチーフとしたメーターパネル。ベーシックモデルは白となる |
試乗したのは、最もベーシックなモデル。結論から言うと、207シリーズの中でこれまで発表されたどのグレードよりも、ちょっと前のプジョーらしいネコアシをみせてくれた。小気味のいい低速域での乗り心地、手応えよく粘り気のあるハンドリングテイスト、素直で心地のいいクルマの動き、などなど、乗れば乗るほどに身にしみる、そんな走り味である。
エンジンやミッションなど、個々の評価は“それなり”なのだが、クルマとしてのまとまりが秀逸。これはフランス車の特徴なのだけれど、今回の207SWでは特にそのことを強く感じた。
褒めついでに、さらにひと言。もうじき308シリーズが登場するが、ひょっとして207SWがあれば十分かも?逆に言うと、 308シリーズにどれだけ、207にない魅力が備わっているのか。そこが興味深い。
プジョーのコンパクトカーを買おうと思っている人、小さくて気の利いた小粋で軽快なクルマに乗りたい、なんて人には、207SWを大いに勧めたいが、もう少し待って308と比べてみるのも面白いと思う。まだ触ったこともないので何とも言えないが、308、日本で乗るには、ちょっとリッチなプジョーすぎるんじゃないか、と今は思っていたりするのだが……。
撮影:尾形和美・カーセンサー