Audi(アウディ)/アウディの車種情報・試乗レビュー

世界最速ワゴン、RS6アバントを南仏で試す(3ページ目)

580psを誇るV10直噴ツインターボエンジンやフレアフェンダー仕立ての外観をもつ、アウディRS6アバント。ハイスペックモデルが大好物のボクには、正に"よだれモノ"な存在の世界最強ワゴンを南仏で試乗して来ました。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

冷静にとてつもなく速く走れる超強力GTカー

RS6アバント
専用デザインのバンパーを始め、エクステリアにも専用パーツが多数装着されている

街へ飛び出すと、サーキットでの重厚感が印象的に更に増す。ちょっとした装甲車をドライブしているかのような気分(乗ったことないが)。時速30km/hまでは何とか扱える範囲内の軽さだったステアリングフィールも、それを超えると数十kgの重りが腕に吊るされたように重い。女性はちょっとキツいんじゃないか。低速域ではフロントヘビーな印象も強い。

本領を発揮するのは、だんぜん高速道路上である。サーキットでみせた安心感が公道上では倍増するかのようだ。これほど安楽で心地よく速いハイウェイクルーザーをボクは他に知らない。RS4にも積まれていたDRC(ダイナミックライドコントロール)はオプションで3段階変更も可能で、そのコンフォートモードで走れば硬い乗り心地に悩まされることもない。
RS6アバント
アウディの新たなトレンドとなる、LED式ポジションランプも装着される

そう、決してスポーツカーではないのだ。これは超強力なGTカーというべき存在で、とてつもなく速く走るが、そこでドライバーを興奮させるということがない。あくまでも冷静でいられる。

社会的に責任のある人が“どうしても”高速道路を自らかっとんでゆかねばならない、などという場面において、世界で最も重宝するクルマではないだろうか。走り切った向こうで一仕事、それも大事な用が待っている。運転で緊張したり興奮したりすることは、無意味であり無益であろう。

ブランド的にもクラス的にも、そしてパフォーマンスとステータス性においても、成功したビジネスマンのツールとしてこれほど満足度の高いモデルはない。

日本でそんなシーンがそれほど多いとは思えないが、ボクなら日本中どこへでも自分で走って行くグランドツーリングの相棒として、真っ先に名前を挙げたくなるクルマだと言える。日本上陸は、この秋だ。
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