CESにも不況の影響が……
1月7日から10日まで、例年のようにラスベガス・コンベンションセンターで開催された、世界最大規模の家電見本市=インターナショナルCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)。ショー全体としては、3D TVや電子ブックといった目玉製品のおかげで、わりと盛況。人出は、昨年よりもむしろ多かったように感じる。が、そこかしこに一昨年来の不況の影響を感じるショーだった。パナソニックの3D TVのコーナーは大人気 |
それは渡米前の下調べの段階であらかじめ予想できていたのだが、カーAVに関しては、出展取りやめ、もしくは規模を縮小したメーカーがいかに多いことか。もっともそれには裏があって、CESの会期に合わせ、ラスベガスの他のホテルで独自に展示会を行うメーカーが増えたためでもあるのだが…。例年は大半がカーAV関連のメーカーで埋め尽くされていたノースホールに足を踏み入れてみると、今年はカーAV関連メーカーが占めている面積は会場の約半分ほど。残り半分は、iPod関連用品のメーカーと中国を中心としたアジアの小物メーカーのこまごましたブースが立ち並んでいる。会場内のカーAV関連メーカーが減った分、取材はとっとと終わると思いきやさにあらず。CES会場から離れたホテルの展示会への移動に時間をとられ、かえって手間がかかってしまった…
スマートフォン+地図アプリでPNDはどうなる?
愚痴はさておき、CES会場を見回して驚いたのは、昨年、あれほど幅をきかせていたPNDの展示が大幅に減っていたことだ。ノースホールにはほぼ皆無。携帯電話メーカーやアクセサリー関連メーカーのブースが並ぶサウスホール2階でガーミンが出展していたのとセンターホールでモトローラが展示していたのは見かけたが、それ以外は中国・台湾の小規模メーカーが軒を連ねるヒルトンホテルのパビリオンでちらほらとあった程度。見事なまでの減少ぶりだ。モトローラのMOTONAV TN765tは横長画面のPND |
その理由をアメリカ在住の知人に聞いてみたことはメルマガにも書いたが「iPhoneをはじめとしたスマートフォンとナビアプリが普及したことで、PNDの必要性が薄れたのではないか」とのこと。それを証明するかのように、ガーミンでもnuvifonなるナビアプリ搭載のスマートフォンを展示。ノキアでもスマートフォンでナビアプリのデモをするなど、アメリカではPNDからスマートフォン+ナビアプリへの移行が着々と進んでいるようだ。
ガーミンではスマートフォンに地図アプリを組み込んだnuvifonを展示 |
となると気になるのは日本である。国内のナビメーカーの数社に聞いてみたところ、やはり日本でもPNDの販売台数は鈍るという見かたをしているメーカーが多いようだ。ただし、アメリカのように一気にスマートフォンへと移行するかというと、そうはならないだろうとのこと。というのも、日本では運転中の携帯電話の使用が禁じられており、表向きに携帯ナビは助手席ナビという扱い。また日本では、もともと高性能なHDDナビが普及していたこともあり、PNDも独自の高性能化が進んでいる。さらに、日本のPNDユーザーは海外に比べて年齢層が高いとのこと。それら諸々の事情から、日本でもいずれPND市場がシュリンクしていくにせよ、その度合いは緩やかだし、独自の高性能PND市場が、しばらくは続くのではと読むメーカーが多いようだ。
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