スピーカーの造りの違いに愕然
|
ドアの内張りを外したところ。ドア全面を覆っているのは防水のビニール |
まずはドアの内張りを外し、純正スピーカーを外す。下は純正ウーファーとフォーカル165VRのウーファーを比べてみたもの。一目で、お金のかかり具合の違いがわかると思う。表側の振動板やエッジ、センターキャップとフェイズプラグの違いはもちろんだが、裏側のフレームの造りや振動板の深さを見れば、どちらがいい音がしそうか、一目瞭然だと思う。ちなみにマグネットは、純正スピーカーがネオジウムでフォーカルがフェライト。磁力が異なるので、大きさだけで一概には比べられないが、フォーカルのほうが強力なのはいうまでもない。
|
右がフォーカル、左が純正。見るからにフォーカルのほうが高級そう |
|
フレームは樹脂の純正に対しフォーカルは金属。フレームの剛性が大きく違う |
スピーカーの性能を引き出すデッドニング
スピーカーを外したら、まず行うのがデッドニングという作業。要するに、ドアの鉄板の振動を抑える作業である。スピーカーのエネルギーは想像するよりも大きいもので、とくに低音ほどエネルギーは大きくなる。またスピーカーの音は振動板の前から出るだけではなく、後ろからも出る。その後ろから出た音のエネルギーがドアの鉄板に伝わり振動することで、鉄板が鳴いたり、スピーカーの前から出るエネルギーが弱くなったり、音がぼやけたりといった様々な影響があるわけ。そのため、デッドニングをすることで、低音の音程や輪郭がはっきりする。それが中域や高域まで影響して、全体的に音がクリアになるといった効果がある。
|
ドア鉄板の弱い部分に制振材を貼って響きを抑えることでスピーカーの能力を引き出せる |
|
ドア鉄板に開いたサービスホールを塞ぐ作業も重要。塞ぎ方や塞ぐ箇所もノウハウ |
デッドニングにもさまざまな方法がある。ドアの鉄板全体に制振材をベタベタとやるやり方もあれば、鉄板の一部を制振材で効果的に抑えていく方法をある。これは、どちらがいいとはいえないが、フロントスピーカーをデッキの内蔵アンプで鳴らすようなシステムの場合、あまり制振材をベタベタと貼ると、音が詰まった感じに聞こえることも多々ある。また、ドアが重くなってヒンジに負荷がかかるとか、ドア内のメンテナンスがやりにくくなるといった弱点もある。この辺の加減は、数多くのドア制振を施工してきたショップのノウハウでもあるが、ただ貼ればいいというものではないのが難しいところ。今回は、少ない材料を効果的に貼る方法である。
次ページはインナーバッフルの制作