新聞報道などでご存知の方もいると思いますが、一部の新車販売店で、税金の過剰徴収が常態化していたことが問題とされています。
主に対象となったのは“新古車”と呼ばれる中古車ですが、そもそも“新古車”とはナニモノで、なぜ税金の過剰徴収ということが起こったのかについて以下に解説します。

1.“新古車”とは何か?
新車販売店では自動車メーカーからクルマ(新車)を仕入れて販売しているわけですが、販売台数ノルマを達成すればメーカーから販売店に報奨金が出る仕組みになっています。そこで、目標台数に一歩届かなさそうな場合、販売店が自社で新車を購入し、とりあえず台数稼ぎをするということが行われます。
背景には「新車登録台数」で比較されるメーカー同士の見せ掛けの販売合戦があるため、ただ新車を購入しただけではダメで、それを登録する、つまり販売店を名義人(所有者)としてナンバーをつける必要があるですが、こうして発生するのがいわゆる“新古車”です。
(他にも契約キャンセルなどによって発生する場合もありますが、大部分が上記の理由と言っていいでしょう)
“新古車”が消費者に対して販売されるときには、走行距離がほとんど0kmで実際に使用されたわけでもないのに新車よりも割安な価格設定がされるのが一般的で、そのため積極的に“新古車”を探すなんていう人もいたりしますが、そもそも“新古車”には明確な定義がないため(店によっては1万kmくらい走行した中古車を勝手に“新古車”と称したりもします)、消費者に誤解を与える可能性があるとして公取協によってその表現が禁じられています。
つまり公には走行距離の多少や使用履歴の有無ではなく、メーカーで生産されまだ一度も登録されていないクルマを「新車」、それ以外のすでに登録されてナンバーがついているクルマは全て「中古車」というわけ。
ですが、多少クルマに詳しい人を中心に“新古車”と言う表現が用いられているのが現状です。

2.なぜ税金の過剰徴収が起き得るのか?
新車と中古車では、購入時に必要な税金に微妙な差があります。
対象は「自動車取得税(取得税)」と「自動車重量税(重量税)」ですが、取得税は課税対象額が新車と中古車で異なります(当然中古車の方が安い)。また重量税は新規登録時および車検時に次回車検までの金額を前納しますが、所有者が変わったり廃車になったりしても還付の制度がないため、新車では必ず必要なのに対して車検が残っている中古車ではそもそも納税の必要がありません。
ところが、問題となっている新車販売店では、“新古車”を販売する際に、新車と同じ扱いで税額を計算してユーザーに請求し、実際には納税しない差額を販売店の利益にしていたというわけです。ま、いわゆる詐欺行為ですね。
もちろん新車として登録する際に販売店は重量税を負担しているわけで、それを購入者に肩代わりしてもらいたいと言う気持ちはわからなくもありません。が、車検残のある中古車に対する重量税の請求は禁じられていますので、やっぱりアウトなんですね。
以前書いた「自動車取得税の過剰徴収事件」の中でも述べたように自動車に対する税金の掛かり方の複雑さが根底にあり、また自動車メーカー間での新車販売の熾烈さのあおりを食ったとも言えなくはありませんが、商売はクリーンにやらないと、やっぱりダメですよね。
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