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そのブランドイメージはいかにして確立されたか? レガシィが人気の理由を分析する

1989年のデビュー以来、スバルというマイナーな(失礼)メーカーのクルマにもかかわらず、中古車市場でも着実に支持層を広げているレガシィ。その人気を理由を、3つの観点から分析してみます。

執筆者:大江 治利

(最初に断っておくと、今回はちょっと堅いオハナシです)

今現在、中古車市場において二大巨頭と言えるのがスバルレガシィと日産スカイライン。ホンダオデッセイやステップワゴン、トヨタセルシオやマークII/チェイサー/クレスタ三兄弟(もはやマークII以外は絶版だが)なども広く人気を集めるが、歴代モデルの人気に起因する流通台数の豊富さや、指名買いの多さで一歩及ばない。

ところで、30年の歴史を誇るスカイラインはともかく、なぜトヨタでもホンダでもなく、スバルのレガシィがそれほどまでに人気を集めるのか。その理由を3つの観点から、私なりに考察してみよう。


1.プロダクトの強さ

まず第一に、専門的な目から見ても一般ユーザーから判断しても、レガシィがすぐれたクルマであることに異論はないだろう。メカニズムうんぬんを言わずとも乗れば分かるハンドリングの良さや、(特にワゴン系で顕著な)考え抜かれた室内の使い勝手の良さ、そしてリーズナブルな新車価格に適度なサイズ。歴代モデルのスタイルも、着実に進化しながらレガシィらしさをきちんと受け継ぎ、個性がありながらも多くの人に受け入れられるというバランスを取っている。

2.マーケット戦略

第二に、スバルのとったマーケット戦略の巧みさがある。初代モデルではそれまでのモデル(レオーネ)に存在した商用車仕様(バン)をラインナップせず、さらに車名も一新して日本におけるワゴンのイメージ改革を図った。その後もいたずらにボディサイズを拡大せず、初代から現在まで基本的に5ナンバーサイズを貫いている。また、2代目はRVブームに押されて約9割がワゴンであったにもかかわらず、3代目ではまずワゴンをデビューさせてからついでB4というサブネームを与えたセダンを追加し、停滞しているセダン市場で数少ないヒットとなった。さらに3代目ではFFを廃し、全車4WDとしたことも結果的にブランドイメージの向上につながっている。どれもがユーザーのニーズを上手く引き出すことに成功しているといえるだろう。

3.物語の演出

そして第三に、レガシィには物語(ストーリー)がある。例えば初代モデルがデビュー時に謳った「10万km連続走行・世界速度記録達成」という物語。例えば「かつて戦闘機を作っていた会社(中島飛行機)の系譜を受け継ぐスバルのクルマ」という物語。例えば「水平対向エンジンへこだわるエンジニア」という物語。例えば「熟成された4WDメカニズム」という物語。例えば「2000ccで280馬力のハイパワーを発揮」という物語。例えば「ビルシュタインのショックアブソーバーやモモのステアリングを採用」という物語。例えば「WRC(世界ラリー選手権)への挑戦」という物語・・・(余談だが、初代のデビューは1989年1月。つまりレガシィは最後の昭和生まれの車種という物語も背負っている)。
新車にせよ中古車にせよ、人はクルマの背後に購入を後押しする物語が欲しいもの。それがふんだんにあるのがレガシィの特徴でもあり、じつはこれこそが、レガシィ人気の最大の理由だと思うのだ。

あえてライバルと比較すると、トヨタアルテッツアはマーケット戦略と物語の演出では頑張ったが肝心のプロダクトで弱さを露呈し、ホンダアコードには物語こそあれ、プロダクト(特にセダン)がマーケットを限定し、日産プリメーラはそもそも別のマーケットで勝負を賭けた感がある。
実は、レガシィの最大のライバルは、もう一方の中古車の雄、スカイラインではないかと思っているのだが、このハナシは長くなるので続きは次回のクローズアップへ。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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