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購入は本当に避けるべきなのか 多走行車はどこが問題か?

心情的に避けたくなる気落ちはもっともだが、多走行車には実際にどんな問題があるのか? 購入は絶対に避けたほうがいいのか? そのあたりの事情を簡潔に解説しています。

執筆者:大江 治利

中古車の価格を決める大きな要素の一つが「走行距離」。中古車は1年間に1万kmの走行が標準的とされるが、それより多いクルマが多走行車と呼ばれ、店頭価格は標準的な走行距離のクルマに比べて安く付けられています(これ以外にも、年式に関わらず、素行距離が5~7万kmを超えると一律に「多走行」と呼ばれる場合もある)。

例えば平成8年式のクルマであれば、平成13年の現在だと走行5万kmが標準であり、7万kmの中古車は5万kmの同モデルの中古車より10~15%程度安い値段がつけられているのだ(もちろん距離以外の条件がまったく同じクルマは滅多に存在せず、物件の絶対金額にもよるので10~15%という数字はあくまで目安ですが)。

その理由は、この記事中でも何度も記しているように「需要と供給のバランス」によるもので、要はそこまで値段を下げないと多走行車は売れないってこと。つまり多く距離を走っているクルマは人気がないのである。

マンションでもなんでも、中古車物件は古いものの人気が落ちるのは当たり前ですが、走行距離が多い中古車は、実際のところ乗っていてどんな弊害があるのか? 具体的な問題点を挙げろとなると意外と明確な答えは出にくいものですが、主要な4要素を挙げると以下のA~Dになります。

A:「走行距離が多い≒長時間使用されていた」ということ。ゆえに塗装状態などの外装や、シート状態などの内装が、同年式の走行の少ない中古車に比べて劣化している場合が多い。

B:「走行距離が多い≒エンジンやミッションなどの機関が多く仕事をしていた」ということ。ゆえに走行が少ないクルマと比べ、機関にトラブルが起こる可能性が高い。

C:「走行距離が多い≒複数の所有者に様々な乗り方をされてきた可能性が高い」ということ。ゆえにメンテナンスのされ方が一様でなく、それに起因するトラブル発生の可能性が高い。

D:「走行距離が多い≒それから利用すればさらに走行距離が延びる」ということ。ゆえに手放すときの価値が低い。

裏を返せば、Aに関しては自分の目で見て、触って状態に納得すればOK。
Dに関してはリセールバリューは気にしない、または乗りつぶすつもりなら問題なし。
B、Cが品質に関わるがゆえに最も重要なポイントだが、これはあくまで可能性の問題。つまり、距離が少なくてもメンテナンス状態が悪ければ品質が低いクルマもあるし、逆もしかりってこと。素人はその判断がつかないから、ついつい安心を求めて距離が少ない中古車に目が行きがちだが、ちょっと労力をかけて何台かの同一モデルを比較すれば、素人なりにその品質差に気が付くハズなのです。

と考えると一定の条件をクリアすれば、実は多走行車ってそんなに避ける理由もないんですよね。特に、セルシオなどの上級セダンが法人使用されていた場合などは、距離の割にはクルマに負担がかからない高速道路を走行している比率が高かったりして、さらにメンテナンス状態も良かったりして、むしろ買い得な物件もあるくらい。また輸入車も、概して走行距離自体はあまり機関の品質に影響を与えないと言っていいでしょう(それよりも過去のオーナーのメンテナンス次第です)。気に入った条件の中古車が多走行だった場合、購入を検討してみる価値は十分にあります。

ただ実際に購入を検討する際は、品質の良し悪しには注意してください。ここでいつもの説明になりますが、最終的には販売店の良し悪しと、物件の良し悪しはほぼ比例します。
要は「多走行車を購入する場合は、販売店を選びましょう」ってのがこのテーマの結論になります。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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