5万2500円高のスライドドア車が正解
9月13日に発売された三菱の主力モデルとなるeKワゴンは、相変わらず買い得感を感じさせる価格が設定された軽自動車だ。今年は軽自動車がとても良く売れているが、これは車両価格が安いことと買った後の維持費が安いことが理由。単純に本体価格だけを比べるとコンパクトカーのほうが安い例もあるが、それでも購入時にかかる税金なども含めていくと軽自動車の安さが際立つことになる。だから軽自動車が売れているのだ。
そんな中で三菱は軽自動車比率がとても高い自動車メーカーだ。これは登録車(軽自動車ではないクルマ)に売れ筋モデルがないことが大きな理由だが、主力のeKワゴンのほか今年1月に投入したiが高い評価を受けていることも理由だ。
新しくなったeKワゴンの価格はベースグレードのMの5速MT車が91万3500円からと、軽自動車の中でも安いほう。実際に売れるのは3速AT車だろうが、それでも96万6000円の設定だ。ただしMとMSではABSがオプション設定(3万6750円)とされており、いわば禁じ手ともいえる仕様ダウンによって低価格が実現されている。オプションだと装着せずに買ってしまうことも多いが、ABSは安全のために絶対に必要な装備だから、オプション装着を忘れてはいけない。
ABSを装着するとMの3速AT車でも100万円を超える。100万円以下の価格表示をしたいからという気持ちは分からないでもないし、ほかのメーカーでもやっていることではあるが、ABSを外すようなクルマ作りは志が低い。こうした仕様はぜひとも止めて欲しい。
このほか、オーディオ(3万1500円)やリヤワイパー&ウォッシャー(1万3650円)などは装着したい装備で、このあたりまで装着していくと価格は100万円を超える。軽自動車でも100万円以下で買えるモデルはまずないと思ったほうが良い。
今回のeKワゴンはリヤスライドドアが大きなポイントだが、これを選ぶと5万2500円高くなる。スライドドア付きのMSの価格は101万8500円でこの時点で100万円を超えている。スライドドアは利便性が高いのは確かだが、5万円高で買うかどうかは個々のユーザーの判断になる。ボディサイドのレールが見えないインナーレール式を採用しているなど、工夫の余地も見られるので、スライドドア装着車を買うのが正解になりそうだ。
上級グレードのGを選ぶと、2WD車の価格が105万円ちょうど。Mに比べるとABSやリヤワイパー&ウォッシャーが標準装備されており、この分がほぼ5万円。ほかにもわずかな装備の違いがあるほか、ATが3速から4速になることで8万4000円の価格差になっている。
新型eKワゴンではGに試乗したが、軽自動車でも4速ATのほうが静かで滑らかな走りが可能というメリットが得られる。毎日のように使うクルマであることを考えると、実質的にはわずか2万~3万円の差なので、4速ATのGを選んだほうが良いと思う。ABSを装着し忘れることもない。スライドドア付きで110万2500円のGSがイチ推しで、Gが2番目にお勧めのグレードだ。オプションはオーディオとハイマウントストップランプ付きルーフスポイラー(2万6250円を装着すれば良い。