日本にはないトヨタの世界戦略車IMVに試乗
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特設コースに設定された悪路も余裕で走破していく |
トヨタは昨年秋からタイでIMV(革新的国際多目的車)と呼ばれるクルマの生産・販売を始めました。IMVは東南アジアの自由貿易協定を活用して主にタイやインドネシアで生産されますが、そのための部品は東南アジア各国から供給されます。
販売は東南アジア各国のほか、オセアニア、中東、アフリカ、南米などの新興市場が中心となり、南米のアルゼンチンでも生産されとのことです。開発の過程では日本のトヨタ自動車も関係していますが、生まれた後は日本とは直接的な関係を持たずに独自に生産・販売が行われるという点で、トヨタが本当の意味でグローバル企業になるための第一歩となるクルマと見ることもできます。
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オンロードでの走りも上々。直噴ディーゼルの吹き上がりは軽快だ。
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IMVには3つのピックアップトラックのほか、ミニバンとSUVの合計5つのボディがあり、東南アジアでも大きな工場を持つタイでピックアップトラックとSUVが生産され、インドネシアでは主にミニバンが生産されます。今回試乗したのはピックアップトラックの4WD車で、バンコクモーターショー会場に隣接して設置された特設コースでの試乗でした。特設コースといってもアップダウンや傾斜の強いタフなコースで、自然の中にこのようなコースがあったら走るのを断念すると思われるようなコースでした。
試乗したハイラックス・ヴィーゴのダブルキャブ4WDで、直列4気筒3Lの1KD-FTV型エンジンを搭載します。コモンレール式の直噴16バルブDOHCディーゼル+インタークーラー付きターボが搭載で、動力性能は163ps/343N・mのパワー&トルクを発生します。ボディはかなり大きく、特に全幅が広いので日本でいえば堂々たる1(3)ナンバーサイズですが、動力性能はボディに十分に見合ったもので、相当に力強い動力性能を発揮します。
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バンコク郊外のサムロン工場で生産されるハイラックス・ヴィーゴ |
試乗した特設コースは写真に見る以上にアップダウンの厳しいもので、運転席に座ると進行方向が見えなくなるようなところが多かったのですが、低速域から粘り強いトルクを発生するディーゼルエンジンによって力強く走り抜けていくことができます。サスペンションのストロークも大きく、オフロード4WDとして悪路走破性の実力も高いものがありました。
一般道(というか舗装された大きな駐車場)での試乗も試しましたが、エンジンの吹き上がりが軽快なので、ストレスのない走りを味わうことができました。回転計の上限が低いのを確認しないと、ディーゼルであることが実感しにくいくらいの印象でした。トランスミッションは5速MTと4速ATの設定があり、ATなどは日本から見ればかなり古い仕様ですが、耐久性などの基本性能を考慮したものでしょう。
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検査ラインでのチェックは日本と同等以上の厳しさだという
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内装の仕様や装備などは乗用車としてはさすがにも大味な印象ですが、トラックとして見れば乗用車感覚の強いものといえそうです。低コストのクルマ作りによって、比較的抑えた価格設定で販売されるため、すでに投入された新興市場の各国で人気を集めるのも当然といえるデキでした。