動力性能は合格点 価格も納得できるレベル
エルグランドは旧型モデルの時代に上級ミニバンの市場をリードしてきたクルマでした。それが現行モデルに切り替わった後は、ほぼ同時にデビューしたアルファードに押され、売り負ける状態が続いていました。というのもアルファードには4気筒2.4L車が設定されていて、比較的低価格で選択できるためです。現行モデルがデビューしたときの試乗会でも、私は「最初は買っていてもじわじわとアルファードが伸びてくると思う」なんて言ったものでしたが、最初のうちどころかほんの2~3カ月でアルファード上位になって現在に至っています。当時は上級ミニバンにふさわしい排気量は3.5Lなどと強気な説明をしていた日産も、市場のニーズが低価格の上級ミニバンになると見るや、大慌てで開発を進めたのでしょうが、それが発売されるのはやっと今日になってからでした。
3.5リッターとは外観の違いもほとんどないのがイイ |
でエルグランドの2.5ですが、後出しジャンケンですからアルファードや、2.5を出す前に新しいライバル車として参入してきたエリシオンに対し、当然ながら上回っていないと話になりません。取り敢えず排気量も100cc多いのですから、優位に立つのは当然のことといえるでしょう。
排気量だけでなく、アルファードとエリシオンの2.4L車が4気筒エンジンであるのに対し、エルグランドの2.5Lは6気筒エンジンを搭載してきました。このあたりでも差別化を図ってきました。結果的にパワー&トルクの数字は137kW/232N・mと2台のライバル車を大きく上回るものになっています。エルグランドは駆動方式がFRでエンジンもブロックが重くなりがちな6気筒ということですから、ライバル車に対して同等以上の走りを得るためにもパワー&トルクの数字で勝っていなければなりません。
2.5リッターにはセカンドシートがベンチタイプになったシートも選ぶことができる |
そんなこんなで、無条件でお勧めしにくいところのあるエルグランド2.5ですが、走らせて見るとけっこう良く走ります。箱根ターンパイクの料金所をすぎてすぐの急な坂が続くシーンでは、ちょっと厳しいかなと予想していたのですが、意外なくらいに元気良く走ってくれました。5速ATはミニバンに合わせた特性で、エンジンをそんなに高回転域まで使わずにシフトアップする設定ですが、マニュアルモード付きなので走り方に合わせたギアの選択も可能です。動力性能に関しては十分に合格点があげられると思います。
足回りはミニバンゆえに仕方のないことなのですが、柔らかめの設定でロールが大きめに感じます。アイポイントがとても高いミニバンなので実際のロールよりも大きく揺れている印象になるのですが、ヒルトン小田原に通じる登り坂を行き来しながら走りの撮影をしていたら、運転していてもクルマ酔いをするような感じになってしまいました。安定性に不満があるわけではなく、コーナーをしっかりクリアする性能を持ってはいるのですが、この揺れはもう少し抑えて欲しいところです。
エルグランド2.5Vの価格は283万5000円です。アルファードやエリシオンのベースグレードに比べるとやや高いのですが、これは排気量や気筒数の違いを加味すればまあ同等でしょう。カーウイングス付きのカーナビ+5.1chサラウンドシステム+バック&サイドモニターなど、アクティブAFS、サイドSRSエアバッグなど、フルオプションに近い感じで装着された試乗車ではトータルの車両価格が400万円近いものになっていました。どんなオプション装備を選択するかはさまざまですが、装着しすぎるとけっこうな買い物になってしまいます。
関連サイト
エルグランドに2.5Lモデル登場
エルグランドオフィシャルサイト