トヨタとダイハツの提携から生まれたパッソ&ブーンは、新しい時代のコンパクトカーだ。トヨタにとってはベーシックラインを受け持つモデルであり、ダイハツにとっては軽自動車から上級移行するユーザーの受け皿となるクルマで、それぞれのメーカーにとっての位置づけは異なるが、それが交錯する部分でクルマ作りがなされている。クルマの基本コンセプトは主にトヨタが担当し、実際の開発作業や生産はダイハツが担当するという。
外観デザインはシンプルというかいかにも地味な印象。インテリア回りはデザインだけでなく作り込みなどの部分も含めて安っぽさを感じさせる部分があり、割り切って選ぶ必要がある。
搭載エンジンは新しく開発された3気筒の1000ccと4気筒1300ccの2機種。売れ筋となるのは1000ccのほうだが、3気筒であるがゆえの振動や騒音が避けられない面がある。並の3気筒エンジンに比べたら良くできているが、4気筒エンジンに比べると振動や騒音が大きい。
特にアクセルを踏み込んだときの騒音レベルは高めだ。ATの変速フィールに優れるため、全体的な走りのフィールは決して悪いものではないが、不満を感じないワケではない。4気筒エンジンは排気量の分だけ余裕があるものの、特にパワフルだったりスポーティだったりすることもなく、走りの印象は平凡なもの。普通のクルマという印象だ。
3気筒エンジンの搭載車は100万円そこそこの価格で買えるので、軽自動車とも競合するものと考えていいが、買った後の維持費も含めて考えると、任意保険料などが安い軽自動車にはかなわない。むしろ軽自動車にはない広さや5人目が乗れること、高速走行で余裕があることなどを重視して選ぶことになる。
価格的な安さはあるものの、インテリア回りの雰囲気なども軽自動車並の水準だから、安さとのバランスで使い方を考えるクルマだろう。