クライスラーのクロスファイアに試乗しました。これはダイムラー・クライスラーらしいクルマというか、コラボレーションの中から生まれたクルマです。
外観デザインは01年のデトロイトショーに出ていたデザインスタディを生かしたもので、基本メカニズムはメルセデス・ベンツのSLK用のプラットホームやエンジン、ATなどを採用しています。そのことによって24カ月という短い開発期間で市販に移すことができたということです。
レトロ感覚も感じさせるロングノーズとファストバックの2ドアクーペのボディは2シーターの設定で、キャビンのリヤ部分を絞り込んでフェンダー張り出したデザインなど、個性的でインパクトのあるデザインが採用されています。インテリア回りの雰囲気もアルミ調のクライスラーならではのものに仕上げられました。
このようにデザインがクライスラーのものであるのと同時に、メカニズムは信頼性の高いメルセデス・ベンツのものを採用していますので、ユーザーは普通のクライスラー車に乗るよりもずっと安心してクロスファイアに乗ることができます。メルセデス・ベンツ製の3.2Lで18バルブのV型6気筒エンジンは、相変わらずの元気の良さを発揮しますし、5速ATの変速フィールの気持ち良さ、あるいはティップシフトの操作性なども文句のないものです。またメルセデス・ベンツの基本メカニズムを採用したことで、クライスラーとしては初めてESPやブレーキアシスト付きのABSなど、電子制御技術を使った安全装備が採用されるというメリットも出ました。
生産はヨーロッパのカルマン社で行われており、品質面での期待も高いものとされています。そのためもあってか、価格設定対もアメリカ車ではなくヨーロッパ車並みの水準の490万円とされています。かなり裕福なディンクスや子供が独立した熟年ユーザーなどで買えない価格ですが、ダイムラー・クライスラーだからこそ実現できたデザイン+パフォーマンス+品質(信頼性)を買うのだと思ったら、納得できるのかも知れません。また大量に売るのは無理でしょうが、クライスラーブランドのイメージリーダーになるのは確かでしょう。