●ユニバーサルデザインのラウム
21世紀の新しい価値観ともいえるユニバーサル・デザインを実現したクルマが登場しました。トヨタのラウムがそれです。バリアフリーやイージーアクセス、優れた操作性や人に対する優しさなどを商品として表現するのがユニバーサルデザインで、これまでにいろいろな商品に展開されてきましたが、クルマに採用されるのはラウムが初のケースです。ユニバーサルデザインを採用するに当たっては、さまざまなケーススタディを重ねることによって180項目にも及ぶ指針を設定し、それに合致したクルマ作りを徹底させたといいます。
そもそもラウムは優れた乗降性を実現するなど、これまでも人に優しいクルマとして知られていました。それを体系的にまとめ上げ、新しい地平を確立したのが今回の2代目ラウムです。使い勝手の良さなどというのを超えた新しいレベルのクルマと言っても過言ではありません。ラウムは今年最も注目されるクルマだと思います。
●ボディや搭載エンジンは1種類だけ
ラウムのボディは従来と同じリヤにスライドドアを採用した5ドア、搭載エンジンは4気筒1500ccのハイメカツインカムが1機種で、トランスミッションも電子制御4速ATのスーパーECT1種類だけですから、メカニズム的には基本的に1機種で、FFと4WDの2種類があるだけと思っていいでしょう。
駆動方式の違いによってエンジンのチューニングがわずかに異なりますが、これは決定的な違いではありません。FFと4WDでは18万円の価格差がありますが、雪国のユーザーが4WDを選び、温暖な地区のユーザーがFFを選べば良いでしょう。ちなみに4WDシステムはロータリーブレードカップリングを採用したフレックスフルタイム4WDです。シンプルな機構ながらレスポンスに優れたスタンバイ4WDです。
ただ10・15モード燃費の落ち込み幅はやや大きめで、FFならリッター当たり16.2km走るのに、4WDではこれが15.0kmになってしまいます。価格と燃費の違いを考えると、大半のユーザーはFFを選べば良いと思います。長期的に見て売れ筋になると思われるCパッケージの価格で見ても、FF車は149.8万円と150万円を切るのに対し、4WDは167.8万円とかなり高めの印象になります。やはりFFで十分です。