オペルのミドルセダンであるベクトラがフルモデルチェンジされました。ボディもエンジンも一新された今回のモデルは、オペルの新しいクルマ作りを象徴するモデルです。メルセデス・ベンツやBMWなど、プレミアムブランドに比べると割安感のある価格が設定されており、その買い得度が注目されるところです。
新しいベクトラの価格は、4気筒2200ccエンジンを搭載した標準グレードの価格が335万円で、本革シートなどを装備したプレミアムの価格が362万円という設定です。2200cc級のエンジンを搭載したモデルとして考えると、国産車に比べれば割高な印象があるものの、装備の中身を考えたり、あるいはほかの輸入車との比較で考えると、かなり割安なモデルであるといえます。
逆にいえば、ベクトラというクルマに特徴的な魅力がないために、こうした価格設定になっているともいえるのですが、輸入車であることに構えて乗るのではなく、輸入車であることをあまり意識せずにごく自然体で乗るクルマとして考えたら、この割安感は大きな魅力になると思います。
日本では、輸入車にプレミアム性を求め、そのためには割高な価格もいとわないという人が多いのですが、そうした輸入車選びはあまりに古くさい選び方といえます。輸入車も国産車も、同じ土俵で考えるのが、これからの時代ではないでしょうか。
さて、ベクトラの価格がどれくらい安いかといえば、競合車の価格はこのようになっています。
・アウディA4 2.4(445万円)
・BMW320i(443万円)
・アウディA4 2.0SE(399万円)
・メルセデス・ベンツC200(395万円)
・ボルボS60 2.4(395万円)
・ボルボS60(365万円)
・アウディA4 2.0(362万円)
・VWパサート2.3(349万円)
・フォードモンデオ2.5ギア(338万円)
本国でベクトラが強く意識したモデルであるアウディA4を例に取れば、2000ccエンジンを搭載した標準モデルの価格がベクトラプレミアムと同等という設定。同じ金額でベクトラには本革シートなどの豪華装備が付いてくるのですから、ベクトラがどれだけ割安なクルマであるかが分かるというものです。
強いていえば、フォードのモンデオが2500ccエンジンを搭載しながら、2200ccエンジンのベクトラと同じような価格ですから、これが唯一まともに競合できるクルマといえますが、モンデオも輸入車らしさ、ドイツ車らしさがやや希薄なクルマです。
ですから、輸入車であることに意義を見出して高値を承知の上で従来からのプレミアムブランドを買うか、それとも割高な輸入車に背を向けてリーズナブルなクルマを選ぶかという選択があるワケです。
今はまだ、輸入車であることを意識しないで外国製のクルマを買うのは無理ですが、いずれは国産車も外国車も同じように選ばれる時代がくるでしょう。オペル・ベクトラはそうした時代を先取りしたクルマともいえます。