速度を上げると段差などのゴツゴツ感も消えて、雲の上に乗っているような乗り心地。低速ではかなり軽かったステアリングはしっとり重くなり、ビッグ・シトロエンの伝統どおり、すばらしい直進安定性をもたらす。その直進性と、ゆったりした揺れに身をまかせながらのクルージングは、ハイドロニューマティック時代に「戻った」と錯覚してしまうほどだった。
スポーツモードは、乗り心地が固くなるというより、揺れのピッチが少し速くなり、フラット感が強調されるフィーリングだった。姿勢変化も小さくなるので、コーナーではロールが抑えられ、曲がりやすくなる。ふつうのクルマに近づくといえるかもしれない。でもこれならC6でなくてもいいわけで、コンフォートモードの乗り味が嫌いな人を乗せるときや、どうしても急いで走らなければならないときなどに、使用を限定してしまいたい感じがした。コンフォートモードの心地よさを一度味わったら、誰でもそう思うはずだ。
C6は、見ても乗ってもまぎれもないシトロエンだった。とくにDS以来の伝統芸であるオイルとガスのサスペンションが、かつての心地よさを取り戻していたことが、個人的にとてもうれしかった。標準仕様が682万円、ラウンジパッケージつきが710万円という価格は、同クラスのドイツのプレミアムブランド並みだが、そもそもこのクルマをライバルと比べること自体ナンセンスという感じがする。C6と同じ世界を持つクルマは、C6以外にないのだから。
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