前後に長く、高さは低めというキャビンの雰囲気は、これまた少し前のシトロエンを思わせる。シートは革張りなので、ルノーとしてはフッカリ感が薄いが、座面の厚みや背もたれの張りはしっかりしていて、体にフィットする形状だった。リアシートは低めだが、スペースは旧型よりもかなり広くなった。身長170cmの僕が前後に座ると、ひざの前には20cmも余裕がある。頭上はギリギリだが、シートの形状や角度などは理想的で、立体的な形のおかげで適度なサポート感もあった。センターアームレストにはカップホルダーやトレイ、横と後ろには巻き上げ式ブラインドが備わるなど、快適装備はかなり充実している。
ラゲッジスペースは驚くほど広かった旧型ほどではないが、短めのオーバーハングのわりには奥行きはあるし、深さも想像以上。普通の人は狭くて困ることはないはずだし、そういう人にはワゴンという選択肢がある。写真に見えるトレイはオプションだが、けっこう便利そうなアイテムだった。リアシートの畳み方は、ワゴンはクッションを上げてからシートバックを倒すダブルフォールディング方式だが、5ドアはシートバックを倒すだけのシンプルな方式になっている。
エンジンとATはアヴァンタイムと基本的に同じ。対するボディはそれより240kgも軽い1550kgだ。おかげでとにかく余裕がある。普通に走るには2000rpmぐらい回せば十分。高回転まで引っ張れば3リッターらしい力強いダッシュが味わえる。アイシン製ATの変速マナーはあいかわらずスムーズかつスピーディで、文句のつけようがない。5速なので、100km／ｈの回転数は1800rpmとアメリカ車並みに低く、ほとんど無音といっていいほど静かだった。
