ラゲッジスペースは奥行きや幅はこのクラスの平均レベルだが、深さがあるのでかなりの荷物が積めそうだ。荷物を隠すトノカバーは厚いボードで、裏返してフロアにセットすると、上下2段に分けて使うことができる。リアシートは座面を起こし、背もたれを前に倒すことで折り畳むことが可能。ここまでマルチパーパスなクーペは他にない。
3リッターV6エンジンはプジョー406/607、シトロエンC5と基本的に同じで、152kW(207PS)/280Nm(28.5kgm)という数字も近い。対する車重は1790kgと、この中ではもっとも重い。ところが実際に乗ると、少なくとも607よりは速いと感じた。アイシン製5速ATの効率が良いのだろう。変速のタイミングに違和感を持つこともほとんどなかった。マニュアルモードのレスポンスもいいし、これならMTはいらないと思った。
ドイツで乗ったときは剛性が不足気味だったボディは、その後の改良で不満がないまでに強化された。おかげで乗り心地は、低速での直接的な固さが消え、ルノーらしいまろやかなフィーリングが味わえるようになっている。背の高さを感じさせないほど素直でハイレベルのハンドリング、すばらしい直進安定性は今までどおり。高速道路は快適を通り越して快感と呼べるほどだ。