僕はディーゼル擁護派の人間ではない。ガソリンとディーゼルにはそれぞれ良い点、悪い点がある。国土が狭くてクルマ密度が高く、渋滞が多くて平均速度が遅い日本のような国は、CO2の排出量が少ないというディーゼルの長所よりも、NOxやPM(粒子状物質)を多く排出するという短所が目立ってくる。ディーゼルが環境に優しいというヨーロッパの主張を、そのまま日本に当てはめるわけにはいかない。
ただフランスでは、たとえクルマであふれるパリ市内でも、ディーゼルにつきものの黒煙や匂いは気にならない。石油会社が良質な軽油を供給し、メーカーが環境に優しいエンジンを開発するとともに、不正軽油や違法改造などをなくせば、欠点はかなりの程度で克服できるのだ。それにディーゼルのほうがクリーンだといいながら、ガソリン車も販売している。
日本がディーゼルに不向きな国なのは分かるが、「エンジンが選べる」ヨーロッパの状況がうらやましい。そう思わせるほど、クリオ1.5dCiのポテンシャルは実用車として優れていた。