フランスはディーゼルエンジンの乗用車がとても多い。ヨーロッパでは、CO2排出量が少ないことから地球温暖化の進行を食い止める「環境に優しいエンジン」という見方がされているディーゼルだが、そういう考えが出る前からたくさん走っていた。フランス人が本来持つ合理性が燃費の良いディーゼルを選ばせたのだろうし、国土が広くて山が少なく、高速道路には速度制限があるという状況もディーゼル向きといえる。
現在本国で販売されているフランス車はほとんどがディーゼルを持っている。シトロエン、プジョー、ルノーの3メーカーについていえば、ガソリンエンジン専用車として開発されたルノー・トゥインゴを除く全車がディーゼルを積んでいる。プジョー406クーペやルノー・アヴァンタイムといったクーペにもディーゼルバージョンがあるのだ。
今回乗ったクリオのクラスは、最近PSA(プジョー・シトロエン)、ルノーともに新設計エンジンが投入されたことで注目されている。クリオは昨年のマイナーチェンジのときに1.5dCiが登場。PSAはヨーロッパ・フォードと共同開発の1.4HDiを今年リリースし、シトロエンC3やプジョー206に積んでいる。dCi/HDiは、どちらもコモンレール式直噴ディーゼルターボを示す呼び名だ。
それまではクリオは1.9dTi(直噴ディーゼルターボ)、206は2.0HDiを積んでいた。上級車のメガーヌや307にも積まれているエンジンのチューニングを低めて搭載していたのだ。そのほうが合理的だったからだろう。しかし排気量が大きい分、燃費の良さはそれほどではなく、車体も重くなった。そこで1.4/1.5リッターの新型エンジンが登場したようだ。PSA/プジョー以外でこの排気量のディーゼルを生産しているのは、ほかにトヨタ、VW(アウディ・セアト・シュコダを含む)ぐらいしかない。