エンジンは406V6と同じES9型3リッターV6で、最高出力152kW(206PS)、最大トルク285Nm(29.0kgm)を発生する。吸気カムシャフトに可変バルブタイミング機構を採用したことで、最高出力の向上だけでなく2000rpmで最大トルクの90%に相当する260Nmを得るという扱いやすさをも獲得。エンジンブロックとシリンダーヘッドは軽量アルミ合金製で、重量はオルタネーターとスターターを装着した乾燥状態で178kgとなっている。
トランスミッションはティプトロニックタイプの4速AT。ZF社との共同開発による4HP20型をべ一スに、シーケンシャルタイプのマニュアルモード、ポルシェ・ティプトロニックシステムを採用した。オート、スノー、スポーツの3モードも備える。学習機能も進化しており、用意されたプログラムはこれまでの11通りから一挙に32通りに増えた。この結果、今まで以上にドライバーの意志を正確に予測することができ、運転状況や道路状況に合わせた快適で効率の良い走りを実現しているという。
サスペンションは、605で定評のフロント/マクファーソンストラット、リア/ダブルウイッシュボーンを踏襲しているが、フロントのサブフレームやリアのウィッシュボーンなどを新設計し、ジオメトリーの見直しを図っている。さらに9段階の設定を持つ可変ダンピングシステムや、スロットルやブレーキを制御して走行を安定させるESP、加速時のホイールスピンを抑えるASRといった制御機構も搭載した。
ステアリングは油圧ポンプ一体型のラック&ピニオン方式を採用、車速とステアリングホイール回転速度に応じた可変パワーアシスト機構を備えている。ブレーキはフロントがベンチレーテッドディスク、リアはソリッドディスクで、ABSのほか前後左右の制動力配分を制御するEBD、エマージェンシーブレーキアシスト、前述したオートハザードランプなどにより、アクティブセーフティに配慮がなされている。タイヤサイズはコンフォートが225/55R16、スポーツが225/50R17だ。
パッシブセーフティーもトップレベル。エアバッグは運転席側60リッター、助手席側100リッターで、エアバッグをコントロールする電子制御ユニットは、燃料カットオフ、ハザードランプの自動点灯などの補助的な安全機能とも連動している。加えて12リッターのサイドエアバッグやカーテンエアバッグも標準装備し、前後席の乗員の頭部を保護してくれる。ステアリングコラムにはコラプシブルシステムを採用するとともに、ステアリングコラム下部がスライドしてブレーキペダルの突き出しを防止する機構を採用、足の損傷も最小限に食い止めるという。
海外のショーなどですでに607は目にしていたが、オーソドックスな成り立ちのクルマということもあってそれまでは気にかけていなかった。しかし今回東京モーターショーで、実際にシートに座ったりするうちに、目立たないがなかなか良いクルマだと思うようになった。605がそうだったように、乗ると最高に心地よく、安定しきっているのだろう。試乗できる日が楽しみだ。
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