NSXにホンダのもの作りへのこだわりを感じる

NSXは実に様々なことを僕に教えてくれた。ワインディングを、高速道路を、サーキットを走った時、このクルマがいかに走りを考え尽くして作られたのか、そうした成り立ちを持つのかを教えられた。もちろん走りだけでなく、独自の存在感についても強く教えられた気がする。

NSXには脱着ルーフのタイプTもある
さらにNSXは人との出会いを多くもたらした。元さんこと黒沢元治氏や土屋圭市氏、ホンダの上原繁LPLを始めとする人たち、そしてオーナーの方々…皆素晴らしい人たちであり、僕に貴重な時間を割いてNSXの素晴らしさを教えてくれた。

また取材で2002年には高根沢工場を見学に行き、その圧倒的に丁寧な作業に心打たれ涙しそうになった。職人がひとりずつ丁寧にパーツを組み込む姿をみた時、僕は中古で買ったのでアレだが、この内容を考えたら絶対に安いとすら思えた。同時に新車でこのクルマを買える人は本当に幸せだろうと思った。

NSXの生産は、圧倒的に人の手が入る、現代のクルマ作りとは対極にあるもので、ここまで手作業が多いクルマ作りは世界中のどこを見てもほとんど存在しない。それほど貴重なものだったのである。

クルマそのものの成り立ちはもちろん、ディテールまで徹底されたメカニズム、そしてそれが生み出す走り、取り巻く人間、企画・生産・販売など…あらゆる面において、NSXとは実に崇高な思想と哲学のもとに存在する1台なのだと知った。