またDCCDの制御のため新たにヨーレートセンサーを採用したこともトピック。これによって制御の緻密化/高度化が図られ、回頭性と安定性のバランスを高めたという。以前のDCCDオートモードではややオーバーステア傾向だったが、今回は同じ状況で確実にトラクションが出る。
スバルのスタッフは「コースで振ってみれば分かるよ」と言ったが、ここのコーナーは一番低いギアで3速であり、4-5速が中心だからそれを試すのはあまりにリスキー。これは日本で発表されてから筑波サーキットで試すことにした。筑波の第1ヘアピンでは、以前はDCCDオートモードで脱出時にオーバーステア傾向となったが、この部分で確実にトラクションが出るはずである。
DCCDオートモードでオーバーステア傾向を打ち消したことと、コーナーからの脱出時においてエンジン・レスポンスが高まったことが相まって、実に効率よく力を路面へ伝え脱出の素早さを生んでいる。これはコースを走らせて確認することができた。同時にフロントのLSDもシュアトラックからヘリカルへと変更され、限界付近のステア特性と滑りやすい路面での挙動を向上。実際コントロール性も高まっており、僕でも操っていけるという感じがある。
プロトタイプを走らせてみて、以前にはなかった安心感が生まれたことを痛感できたのが最大のポイントだ。あまりに激しいノルドシェライフェで、信じられぬほど高速でコーナリングするにもかかわらず、高い安定感による安心して操作することができる。文字にしてしまうとあまりに当たり前に思えてしまうが、これはとても凄いことである。
ノルドシェライフェはれっきとした公道である。当然世界一厳しい公道ともいえる。そんな場所でこのプロトタイプは、圧倒的な速さを絶大なる安心感とともに、そしてロードゴーイングカーに相応しい質感で届けてくれたのだから実に意義深い。