この他111Rは、エリーゼとしては非常に豪華な装備内容を誇る。パワー・ウインドーはもちろん、CD付きのオーディオ、レザーとなるトリム、そしてエアコンといった具合でまさにフル装備の状態だ。
勘の良い方ならもうお分かりだとは思うが、こうした装備の充実によって、111Rはエリーゼとして最もヘビーなモデルとなった。初期のエリーゼでは700kgを切る600kg台後半の車重であり、現行の他のモデルでも700kg台を保っていたが、この111Rでは880kgにまで達した。
車重が増えたとはいえ880kgだから、現代の自動車と比べれば圧倒的にライトウェイトであることに間違いない。しかし車重増加の比率を考えると、エリーゼとして相当に重くなったのも事実だ。仮にオリジナルを700kgと考えると、111Rはそれに比べ、約25%重量が増したのだから大きい。もしこれが1500kgのセダンなら1875kgとなることから分かるように、つまりは1クラス上のクルマと同じ重さになるくらいの重量増なのである。
そしてこの部分こそ、111Rというモデルを語る時の、最も重要な「論点」だ。
なぜならロータス社というのは、自らが送り出す製品に対するフィロソフィーとして第一に「ライトウェイトであること」を置くほどの会社だからである。
もちろんロータスとて、好きこのんで重量を増やしたわけではない。111Rに対して、できる限り重量が増さぬよう務めたはずだ。それにも関わらず、実際に車重は880kgにまで達した。この事実はエリーゼの走りに確実に影響するものだということはクルマ好きなら誰でも分かる。では一体ロータスは、この車重をどのように扱ったのか? これが大切な部分といえるだろう。
結論から先にいえばロータスは、例え車重が25%増しても、決して本質を忘れることはなかった、ということである。
車重の増加に対して、ロータスはビルシュタイン社製のショックアブソーバーとアイバッハ社製のコイルスプリングの特性を変更した。以前より重くなったものをコントロールするのだから、当然方向としてはハードな方へと特性は振られたわけだ。
試乗インプレッションはPART2で紹介します