サイド吸排気を採用し、総合吸気可変システム、電子制御スロットルなどを得た他、燃費や環境に対する部分もしっかりと対応することで未来が約束されたロータリーエンジン、レネシスは、実に滑らかで洗練された印象を伝えてきた。RX-8には最高出力250ps/8500rpm、最大トルク22.0kgm/5500rpmのハイパワーバージョン(6MT)と、最高出力210ps/7200rpm、最大トルク22.6kgm/5000rpmのスタンダード(5MT/4AT)の2種類が用意される。数字を見ても分かるように、ハイパワーバージョンは馬力重視でレブリミットも9000回転となる。一方スタンダードバージョンはトルク重視でレブリミットは7500回転となる。数字からも分かるように、スタンダードの方が最大トルクが大きいのがポイントだ。
そして今回試乗したのは250psのハイパワーバージョンである。
6MTそのものは、ロードスター同様シルビアやアルテッツアも用いるアイシン製のそれだが、フィーリングはかなり煮詰められており、コクッという感じでシフトできる。ロードスターの5MTほどの仕上がりではないが、アルテッツアやシルビアのフィールを思い出すととても同じとは思えない。この辺りはやはりショートストロークのシフトノブも相当貢献しているのだろう。
ローに入れて走り出すと、未知との遭遇が再開される。年輩の方ならこの感触には馴染みがあるのかもしれないが、32歳の私にとって、NAのロータリーエンジンというのは非常に衝撃的な初体験なのである。だからおそらくこのRX-8に興味を持っているほとんどの人が、実際に触れた時には衝撃的な初体験となるだろう。
まず回転が非常に滑らかで洗練されているのは始動時と同じで、さらにスロットルを踏み込んでいくと、「電気モーターのように」と言われていることが良く分かる感触が伝わってくる。回転は一定の速度を保ったまま、どんどん上がっていくのだ。回転上昇に対するフリクション感がほとんど感じられないその様は、まさに未知のもの。しかもそれが9000回転まで続くのだ。
どんどんシフトアップしていく。加速感は実に気持ちよい。250ps/22.0kgmというスペックと1340kgという車重を見た時に、加速感はホンダS2000ほど強くないかな、と予想したわけだが、果たして加速感は予想とは全く違う土俵にある要素で、実に魅力的なものを実現していたのだった。
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