ついに目の前に、それが在る。
RX-エヴォルヴを見て衝撃を受けたあの時から、どのくらいの時間が流れただろうか。少なくとも、その後2回はモーターショーでより市販に近い形を見てきた。その度に、早く乗ってみたいものだと思わされたものだ。
ある意味見慣れた感はあるが、やはり実際に目の前に置かれると、受ける印象は大分違う。ショーの壇上にあった時よりも、サイズ感が一層リアルなものとして受け止められる。
最近の自動車は皆一様に背が高くなっているが、今目の前にあるそれは、それらからすれば大分「普通」の背の高さだと感じる。そのディメンジョンからすれば、クルマ全体をしてコンパクトと言い切ることはできないだろうが、印象としてクルマ全体に締まった感じがあるため、全体的にギュッとした凝縮された感じが漂う。
スタイリングは好みにもよるだろうが、私は単純にカッコいいと思った。張り出し、盛り上がるフロントフェンダーとノーズの関係などは、人によっては「やりすぎ」と感じるかもしれないが、私は逆にそういう部分が分かりやすくスポーツカーであることを伝えていると感じた。ボディのあちこちに見受けるローターをモチーフとした造形も反復し過ぎの感がないでもないが、これもまた分かりやすさの裏返しと言える。
RX-8は、ドアを開ける瞬間からワクワクさせられる。果たしてフリースタイルドアと呼ばれる例の観音開きはどうだろうか、と。
早速ドアノブを引き、ドアを開けてみる。実はこの行為自体は2ドアと何も変わらない。サプライズはその後で、フロントドアを開けるともともとBピラーが存在する辺りにまたノブがあり、それを引いて初めてリアドアが開くことになる。
前後のドアを開け放った様子はまさに圧巻だ。ドアを閉じていれば2ドアにすら見えるボディのサイド部分のほとんどが開放されるのだから。もちろんリアシートへのアクセスは尋常じゃないほど楽ちん。普通の4ドアよりも当然アクセスしやすい。
後席の印象は…これは後にして、まずは運転席に座ることにしよう。
インテリアはショーカーから比べれば、大分一般的になったが、それでもスポーツカーとして魅力的なことに間違いない。目の前にあるカウルのついた3連メーターに始まり、背の高いセンタートンネル。そしてその上に、本当にちょこんと載った感じのショートストロークのシフトノブなどなど。まさに走りたくなる造形だといえる。
シートに座る。ヘッドレストが一体型となるスポーツシートにもローターもモチーフが採用されている。エクステリア同様インテリアでもローターは反復されて使われており、シートの他にシフトノブも同様である。
今回の試乗車は全て電動レザーシートが備わっていたが、実際に座ってポジションを取ってみると、やや違和感が残ったというのが本音だ。というのも電動シートは電動メカニズム分だけノーマルシートよりもハイトがあり、さらにレザーゆえの張りで思ったよりもポジションが高いのである。
外からみたときには、足を投げ出す感じに見えるのだが、実際には、やや膝を曲げて座る感じ。さらに座面の先端が結構高いため、膝裏辺りに結構圧迫がある。このため、少し上を向くように座る感じがある。一方ステアリングの位置は、それほど高くないから、シートとステアリングの関係がイマイチ決まらないのだ。もっともこれはプロトタイプであり、発売までに調整される部分だろうが。
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